その年のイメージというのは結局のところ、インパクトの大きかった出来事で印象が決まる。
昨年は東北大震災だった。今年も色々あったが11月の衆院解散に全部持っていかれた印象。
今年の相場を端的に表現するなら“選挙”である。
ギリシャの選挙、アメリカ大統領選、そして衆院総選挙。
選挙に市場が翻弄された1年だった。
民主党政治に対する失望が大きなバネになり株価は鋭角的に上昇した。
ここまでバネの反動が大きくなるとは予想もしなかったと言うのが正直なところ。
マーケットにおいて心理がいかに大きなファクターとなるか、改めて実感させられたのが2012年の株式市場といって良いかも知れない。
失望、沈滞から一気に期待、高揚となった東京株式市場。
11月初めに日経平均が年初来高値を更新して引けると予想した人は皆無といっていいだろう。
2013年の展望だが目先はまず安倍政権が有言実行内閣になるかどうかが問われる。
市場参加者のみならず国民は押し並べて民主党の有言不実行内閣に大きく失望、落胆している。
ここでまた自民党が民主党と同じ轍を踏めば立ち所に投資家の足が遠のくのは自明の理。
ただし、私はその可能性は低いとみている。
プレッシャーをかけられた日銀は既に安倍首相の意に沿う動きを見せている。
そして安倍首相は二期目なのだ。
恐らく不退転の決意で政策実行に臨むはずだし、その双肩にかかる責を理解している筈である。
日銀に対するアプローチを見ても、それを窺い知ることが出来る。
予定通り公共投資や金融緩和の実行となった場合、効果の程が問われるだろう。
安倍首相はインフレターゲット2%と言っているが、所得向上⇒物価上昇とならない限り景気は上向かない筈。
期待がかなり高いだけに、それが現実の壁にぶち当たった時の反動は大きい。
金融緩和や公共投資は一次的な景気浮揚効果はあるものの、長続きしないと観るのが妥当。
1990年から2009年まで、自民党は何度も何度も公共投資をやってきた。
にも関わらず、20年で短期的な株価上昇局面はあったものの、一貫した下落トレンドなのだ。
何か政策が出る度に皆、「今度は違う」という。
しかし、20年間日本経済が沈滞しているのは構造的な問題があると考えて然るべきだ。
これを政治の力で変えるのは至難の業であるし、今度の自民党は違うとはやはり私には思えない。
少子高齢化に変化の兆しがあったか?否!
外国からのマネーが結集するようなGDPの上昇がこれから見込めるのだろうか?否!
日本株の長期的な下落トレンド脱却はやはり難しいと私は観ている。
勿論、短期的には金融効果や公共投資の効果が株式市場で露見されることになるだろう。
問題はそれがどこまで続くかと言うことである。
身も蓋もないが、やはり金融緩和効果が落ち着いた後の日本株の動向を左右するのは世界経済。
欧州やアメリカが堅調ならそこそこのパフォーマンスを期待出来るはずだ。
固定観念をもってしまうと動けない。
フレキシブルに対応したいところ。