日銀が20日、10兆円の追加の金融緩和を決めました。その狙いは、「社会全体にお金を行き渡らせ景気をよくする」というものです。
仕組みは次の通りです。まず、日銀が銀行などの金融機関から国債などを大量に購入し資金を供給します。すると、金融機関は資金が増えるので貸し付けも増加。
これを、企業は設備投資などにあてることで工場を新たにつくったりできます。個人は住宅ローンなどにあてることで、住宅や新車の購入が増えるなど経済活動が活発になるというわけです。
しかし、この金融緩和によって増えたお金。果たして本当に必要としているところに届いているのでしょうか。
日銀が20日、追加の金融緩和を発表しました。
「資産買い入れ等の基金を、91兆円程度から101兆円程度に10兆円程度増額することを全員一致で決定した」(日銀 白川方明総裁)
国債など資産の買入基金の総額を、これまでの91兆円から10兆円増額し、景気を下支えするのが目的です。世界経済の減速などで、国内の景気が「一段と弱含んでいて、当面そうした動きが続くと見られる」と判断したためです。
大胆な金融政策の必要性を訴え、総選挙で圧勝したこの人は・・・
「我々が選挙で訴えてきたことが、一つ一つ実現している」(自民党 安倍晋三総裁)
「つい先ほど、緩和策が発表されましたが、円相場は逆に円高方向に振れています」(記者)
円相場は、安倍総裁が求める2%の物価目標の設定を来月に見送ったことで、やや円高に傾きましたが、経済界からは大胆な金融政策に期待の声が上がりました。
「政府と日銀が強力に連携し、現在の超円高を是正するために、あらゆる手段をとっていただきたい」(日本自動車工業会 豊田章男会長)
日銀が進める金融緩和。デフレを脱却し、景気回復に繋げる仕組みは次の通りです。
まず、日銀が金融機関から国債などの資産を大量に購入し、その代わりに金融機関に資金を供給。そのお金を金融機関が企業や個人などに貸し付け、経済の活性化を図る狙いです。
しかし、国内企業の99%、雇用者数でも7割近くを占める中小企業の現場では、「金融緩和を実感したことはない」という声も聞かれます。
「実感としては全くない。銀行でお金が止まっているという印象」(ダイヤ精機 諏訪貴子社長)
いったいなぜなのでしょうか?
「今の現状だと、(銀行も)融資先が見当たらない。我々も借りたいが、いま先が見えない状況の中で、明るい中長期計画は立てづらい」(ダイヤ精機 諏訪貴子社長)
諏訪さんは、金融緩和だけでは限界で、同時に規制緩和など経済政策が不可欠だといいます。
「金融政策だけでは、やっぱり駄目だったということ。これだけ経済が発展して、産業構造が変化しつつある中で政治がそれについていってない」(ダイヤ精機 諏訪貴子社長)
日本のものづくりを支えてきた中小企業は生き残れるか。景気回復に向けた政府と日銀による、デフレ脱却と円高の是正は待ったなしの状況です。(20日17:15)