古代マヤ文明の暦に基づいて、今月21日に世界が滅亡するという噂が世界的に広まり、政府が対応に追われるという国も出てきました。中国では、悪質な便乗商法のほか、子どもを刺すという事件も起きていて、当局はデマに惑わされないよう呼びかけています。
中国の河南省にある病院。多くの子どもたちが痛々しい姿で体を横たえています。
「(Q.子どものけがの状態は?)深刻です」(負傷した子どもの親)
子どもたちを負傷させたのは、包丁を持って小学校に乱入した男。けがをした児童は、23人に上ります。男は、ある噂に影響されて事件を起こしたとみられます。
古代マヤ文明の暦に基づく終末論。マヤ文明は、現在のメキシコやグアテマラなどの地域で古代に栄えた文明で、今も多くの遺跡が残されています。そのマヤ文明の暦が、2012年の12月21日で終わっていることから、今月21日に世界が滅亡するという噂が各地で広まっています。
3年前には、この滅亡説を題材にしたアメリカの映画が公開され、日本でも310万人の観客を動員、終末論が広く知られるきっかけとなりました。
「世界が滅びるって話は、聞いたことありますね」(男性)
「信じていないです」(就職活動中の学生)
「信じていないですね」(就職活動中の学生)
「就職決まんなかったら、滅亡でもいいかな」(就職活動中の学生)
「マヤ文明が先進的だったことも噂に拍車をかけた」と専門家は指摘します。
「マヤ文明という新大陸の文明で、一番進んだ文明だろうと僕は思う。その一つの特徴は、優れた暦なんですね」
この噂が急速に広まる中国。国営の新華社通信などによりますと、警察当局は、終末論を触れ回り社会を混乱させたとして、宗教組織「全能神」のメンバー101人を拘束しました。
こうした事態を受け、18日朝の中国中央テレビのニュースでは・・・
「続いては、2012年12月21日についてお伝えします」(中国中央テレビ)
様々な滅亡説を否定する異例の報道を行い、デマに惑わされないよう呼びかけました。さらに、災害に耐えられるという高価なカプセルなど終末論に便乗した様々な商品が発売され、不安をあおっていると指摘。
「こちらは普通の革靴ですが、 『終末の日避難専用』と題されている。(革靴では)雨の日だって不安なのに・・・」(中国中央テレビ)
新華社通信も、悪徳商人などが金銭をだまし取ろうとしているとの論評を出しました。また、AP通信によりますと、フランスでは、「世界の終末が訪れても助かる」と言われている山に人々が殺到。周辺の不動産価格が高騰しているといいます。
噂を打ち消すためNASAは、ホームページに「2012年に世界が終わらない理由」と題する説明文を掲載。
「12月21日に異常事態が起こることを示す証拠は一切見つかっていません」(NASAのHP)
マヤ文明に詳しい茨城大学の青山教授も、「マヤ文明に終末論は存在しない」として、噂を否定。世界中の研究者も、同様に終末論には何の根拠もないとしています。なぜ噂は広まったのでしょうか?
「若い人には、先が見えないという思いがある。世界が滅びると言われると、なんとなく信じてしまう。そういう雰囲気があるんだろう」(河合信和氏)
21日まであと3日。もちろん、世界は終わりません。(