冬山レポート,イスラエルと中東情勢,IDFの広報活動

冬山さん
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株とはあまり関係ありません。

以前ブログもやっていたのですが管理も面倒ですし、書き溜めたり思いついた事をお世話になっている株掲示板にだらだら書いては迷惑かなと思いこのみん株の日記機能に書いてみることにしました。

かねてから中東情勢は緊迫していましたが、ここにきてメルカバ戦車やその装甲兵員輸送車型などが集中配備された状況が報道されています。昨日に1万7000の予備役招集に続き、本日は7万5000人の予備役招集も現実化しつつあり、「まもなく地上戦か」といわれています。

14:30現在のところはまだ地上戦への投入は行われていませんが、三日前から旧約聖書にちなんで命名された「Operation Pillar of Cloud」なる作戦を開始、500を超えるハマスの拠点をターゲットとしています。

元々は偶発的だったとまで言われていたイスラエルが受けるロケット弾等による被害も看過できないとして、報復ないし自営であることを強調しています。

このハマスのロケット弾はいくつかの種類があるようで、イラン製の大型ロケットファジャルなどはあるものの、大多数はもっと小型のロケットです。いずれも基本設計は旧ソ連系のもので、近年ハマスが開発した小型ロケット、カッサムロケットと呼ばれるものも1960年代に開発されたBM-21(二次大戦のカチューシャロケットの後継)などベースにしているとされています。

カッサムロケットのファミリーは次のようなものがあります。

Qassam1: 5kg
Qassam 2: 10kg
Qassam 3: 20kg
Qassam 4:~10Kg

一発当たりのコストは800ドルないし500ユーロの程度といわれています。

なお、イスラエルの「Operation of Pillar」作戦発動直後に航空爆撃で殺されたハマスの軍事指導者アルジャブリ(Ahmed al Jabri)は、これらロケット部隊に深くかかわっていたようです。なお、カッサムロケットを運用する「サルークアルカッサム」旅団は今もイスラエルに向けロケット攻撃をkしかけているようです。
※この旅団名も、兵器名もハマスの英雄 サルークアルカッサムにちなんだもの。

イスラエル側による集計でカッサムロケットを撃ち込まれた数は
2002年:35
2003年:155
2004年:281
2005年:179
2006年:946
2007年:896
2008年:2048
と増加傾向にあり、2012年はこれらを上回る本数になるようです。

話は飛びますが、イスラエル国防軍「IsraelDefenceForce(IDF)」はYoutube、TwitterやWordPressによるブログ等、あらゆるネットサービスを柔軟に活用した広報活動を行っており、このアルジャブリ殺害はすぐに攻撃時のガンカメラの動画がYoutubeにアップされ、それらはすぐにIDFの広報Twitterで拡散されました。

VIDEO: IDF Pinpoint Strike on Ahmed Jabri, Head of #Hamas Military Wing http://youtu.be/P6U2ZQ0EhN4

低コストで効果的な広報を行うという点では、フットワークの軽いベンチャー企業のようで勉強になる部分もとても多いです。

IDFのTwitter

IDFのブログ

IDFのYoutube(の中のOperation Pillar of Cloudの広報動画)


ところで、こんなに大量のロケット弾を撃ち込まれた割には、今月のイスラエルの死者は今日朝時点で3人です。
なぜこんなに少ないかというと、イスラエルの高度な防空システムがあります。

以前イラクとの関係が悪化し、湾岸戦争でイラクからスカッド巡航ミサイル(核兵器ではなく通常弾頭)を撃ち込まれたため予てから、パトリオットミサイルシステムを大規模に導入していますが、より小型のロケット弾や、迫撃砲などの小型の飛翔体から都市と国民を守るための防空システム「Iron Dome」が配備されいるからです。これは面制圧を行う一見多連装ロケット発射システムのように見えますが、あくまで防御兵器です。

このシステムは数年前からイスラエルが開発し、配備されていました。撃墜率は90%となかなか優秀でしたが、本日は105発撃ち込まれたロケット弾類のうち99発を撃墜したと発表しておりさらに撃墜率が向上しています。ちなみにこのアイアンドームを運用する部隊は元スティンガー部隊だそうです。

さすが米軍や韓国が導入に興味を持っていただけのことはあるなと思います。(朝鮮戦争再開の時には「ソウルを火の海」と北朝鮮は言うでしょうが、このシステムがあればかなり防御できそうです。)
なお米軍は中東の基地の防御のため、艦艇用のCIWS「ファランクス」を陸上化したシステムを試験運用中ですが、結果的に大量配備されるのは、ファランクスとアイアンドームどちらになるのかも個人的に気になっています。
※追記;実際は米軍はもっと低コストなシステムを開発中だそうです。

余談:IDFのブログは「オイ新兵!このブログに会員登録して昇進しようぜ!」みたいなノリの会員機能があったり、ITmediaなんかもIDFのブログでのアルジャブリ殺害の記事を「まるでゲーム」と言っていましたが、先程の動画もどことなく Call of Duty : World at Warのブリーフィングみたいですし、このブログの会員機能なんかまるまるBattlefield3みたいなノリに見えてきます。おそらく広報もそれを意識してるんじゃないかと思います。
北朝鮮の先軍政治を東側的なものととらえるなら、西側的な先軍政治ってまさにイスラエルだなあ なんていうふうに私には見えました。

それと石油がわずかに反応、バルチック海運指数はイスラエルの活動が活発化する前の時点で+2%以上上昇していました。 以前の中東戦争の様にエジプトとの衝突がないと(まさか親米路線の軍部がイスラエルと戦うことは考えられない)スエズ運河などが極端に影響を受ける事は無いと思いますが、短期的には思惑だけでも反応しそうな気がします。 原油系ETF、共栄タンカーなんかの反応を期待しています
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