ミス防止のため、横浜市教育委員会が打ち出した保護者らへの通知表の事前確認。多くの批判を浴び、市教委は五日、「判断が誤っていた」として撤回した。事前確認の実施によって、保護者から学校への問い合わせは二百件を超え、市教委にも批判的な意見が寄せられた。(中沢誠)
この日の市議会の常任委員会で、市議から「親と学校の信頼関係を損なう」「子どもを置き去りにしている」と批判が相次いだ。教育委員からも「本末転倒だ」との指摘があった。
市教委の調査によると、通知表の事前確認を始めた七月以降、市立小中学校全四百九十二校のうち、五十六校で保護者から通知表に関し、二百六十四件の問い合わせがあった。
内容まで把握していないとのことだが、市教委には十月下旬から今月初めにかけて、三十七件の電話やメールが届いた。大半が「学校の責任放棄だ」「教員の使命感を喪失させる」という否定的な意見だったという。
また、事前確認によって、百八十七校で保護者や児童・生徒から計九百二十八件の記載ミスが指摘されたことも判明。そのうち出席日数の誤りが四百九十二件、学力評価の誤りが三十四件だった。
市教委は「学校でも点検を徹底しており、事前確認は念のための措置」と説明していただけに、市議会からは「親が確認してくれるからと、逆に教員の緩みを生んだのでは」との意見も出た。
市教委の入内島周一指導部長は「結果的に安易な対応だったと取られても仕方ない」と陳謝。記載ミス防止については「今後は各校の実態を細かく分析し、学校ごとに効果的な対策を打ち出したい」と述べた。