kabukabumanさんのブログ
☆割安株の落とし穴(パナソニックは買いか?)
どう考えても割安に思えて買いたくなる銘柄は沢山あると思いますが
「割安に買いなし」という相場格言がある様に、本物のお宝株には滅多にお目に掛かかることが出来ません。
つまり一見割安に思える株には必ずそれなりの理由がある訳で
安いと思って飛び付くと高い確率で失敗することになりそうです。
特に最近は往年の国際優良株が相次いで暴落し
イメージ的にバーゲンセールを連想しやすいので注意しなければいけません。
ところで、個人が買いたくなる株は大別すると三種類あると思います。
①例えばネットセキュリティや再生エネルギー・・・etcといった、いわゆるその時々で旬の銘柄(話題性)
②将来的に市場の拡大が予想される銘柄や好業績・高成長が続いている銘柄(ファンダ)
③業績、成長性、話題性などは無関係で「幾ら何でも売られ過ぎじゃない?」と感じる銘柄(割安感)
ここで気を付けなければならないのが割安感で買う場合です。
勿論好業績や旬の銘柄であっても高値掴みをすると失敗しますが
ターゲットとして的外れではないので、課題は売買のタイミングに絞られます。
しかし割安という判断はしばしば思い込みに繋がり、傷口が広がりやすくなるのが難点です。
思い込みで失敗する代表的な例は、銘柄分析を最初から「買う」前提で行う場合です。
つまり、買いたいという気持ちがひいき目を生み、公正な事前分析の邪魔をしてしまうのです。
上がると信じて買った株が、意に反して下がり続けることはよくある話ですが
その原因は大抵銘柄に拘ったため、つまり思い込みにあると考えてまず間違いありません。
因みに先日巨額赤字を計上して株価が暴落したパナソニックですが
ファンダは勿論、話題性でも買える状況ではなく、強いて買う根拠があるとすれば割安感だけだと思います。
しかし後で述べる割安株の判定基準に照らし合わせた時
5年後に復活(黒字&復配)している姿が想像出来るか否かが投資判断のポイントになりそうです。
但し間違ってもパナソニックという社名に惑わされて買うのは思い込みと同じで極めて危険ではないでしょうか。
個人的には売り予想ですが、『みんかぶ』予想は売り買い拮抗している様ですね。
<思い込みによる失敗を防ぐ工夫>
①銘柄よりもセクターを優先する(先ずセクターを選び、その中から有望な銘柄を掘り起こす)
②どうしても銘柄を優先したい場合は、出来るだけ多くの同業他社と株価水準を比較する
③割安の判断基準を明確にしておく(感覚で決断しない)
④割安銘柄に共通する特徴を理解しておく(共通点が当て嵌まれば取り敢えず振り出しに戻る)
次に割安銘柄ついて補足しておきます。
<割安銘柄の判断基準>
①客観的な判断基準としては財務指標や理論株価などがありますが
点で捉える数値は信憑性に欠けるので、必ず経時的な変化を辿る(線で捉える)ことが大事です。
因みにここで言う経時的とは、少なくとも過去5年間の業績推移と
成長性を加味するために5~10年後の業績予測や参入市場の変化を指します。
②判断の精度を高めるために、同業他社と財務指標ごとに充分比較・分析を行った上で
株価水準の整合性を判断することが重要です。
そこで財務指標を比較する時の注意点を幾つか列記します。
①PERやPBRは成長産業で高く、成熟産業では低くなる傾向があるため同じ土俵で比較し難い
②PERはEPSを基に算出するため、特別利益や特別損失が発生すると上下に振れる
また配当性向が低いと、利益が社内に保留されるためEPSが増加しPERは低下する
つまりこの場合はPERが低いから割安なのではなく
配当性向の低いことが割安放置の原因である可能性を否定出来ません。
③PBRは固定資産の簿価と実勢価に差異があるなど信憑性に欠け、割安・割高の判断材料には適さない
例えば設備資産100億円のうち、半分が生産効率の悪い設備であれば
資産価値は簿価を50%下回ることになるため
PBR0.5倍の企業と言えども、市場は資産価値を50億円しか認めていないという訳です。
さらにPBRが長期間低いケースとして浮動株数が少ない企業や赤字続きの企業が挙げられるます。
これらは四季報を斜め読みするだけで一目瞭然ですが、有価証券の含み損など隠れ負債がある場合は
財務諸表を見ても解からないことがあるのでデータを鵜呑みにするのは避けるべきです。
⑤BPS算出上、株主資本に新株予約権や少数株主持分などは含まれない
またBPSは増配によっても減少するので、BPSが低下した時はその原因を把握しておく必要があります。
⑥ROEやROAは新興企業の場合概ね高くなる(設備投資負担の軽さなどが主な理由)
⑦ROEは利益が横ばいでも株主資本が減少すると上昇する(自己株消却や減資に注意)
さらにROEは株価と逆相関します。
つまり株価が上がると減少し下がると増加しますから絶対的な指標ではありません。
⑧利回りが良いのは敵対的買収阻止が目的の場合がある(この場合権利落ち後の株価急落に注意)
③計数分析で割安という結論に至った時は、他に不人気の理由が無いかを確認します。
割安に見える銘柄には、結構共通点があるものですが
共通点に当て嵌まる事項が見当たらなければ、ひょっとすると本物の「お宝株」かも知れません。
<割安銘柄の共通点> = 人気の薄い銘柄
①事業内容が地味で発展性に乏しい(主たる参入市場が魅力に乏しい)
②社名が地味(事業内容をそのまま社名にしている企業など)
③経営者が地味(HP上に顔写真を載せない経営者など)
④事業戦略が地味(研究開発や海外戦略に消極的など)
⑤親会社や取引会社の業績に影響を受けやすい企業(部品や原料の製造など)
⑥株価対策に関心がない(業績予想が常に控え目過ぎるなど)
⑦株式の流動性が悪い(発行株式数または浮動株数が少ない上に売買単位が大きい)
⑧様々な事業に手を出し本業が霞んでいる
⑨長年二部上場に甘んじている
(参考)
<割高銘柄の共通点> = 人気銘柄
①事業内容が最先端で発展性がある(市場の伸びに期待が持てる)
②国策に関連した事業を展開している
③CMなどを通じて認知度が高い
④社長がカリスマで、しばしばメディアに登場する(経営方針や将来展望に関する認知度が高い)
⑤グローバル戦略に積極的
⑥オンリー・ワン企業
⑦配当や株主優待に魅力がある
⑧株価対策に積極的(売買単位の切り下げや株価を意識したIRのタイミングなど)
⑨一発逆転の夢がある(バイオベンチャーなど)
通常、割安株に投資する動機は 割安株→過小評価→必ず見直される時が来る ( ´ ▽ ` )ノ
しかし現実は 割安株→人気薄→事業環境が変わるまで人気化することはない (;´д`)
「割安に買いなし」という格言は、こうした背景から生まれたのだと思います。
因みに事業環境の変化とは、マクロでは政治・経済など社会情勢の変化
ミクロでは新発明・新発見・M&A・業務提携・資本提携・特需の発生などを指します。
<まとめ>
結局割安感で買うより、需給やファンダを判断材料にする方が遥かに高い成果を得られそうですが
強いて財務指標から判断するとすれば、以下の様なケースは合格と言えそうです。
過去5年間のEPS・BPSが右肩上がりで今後も成長が見込める(EPSが毎年上下する企業は除く)
株主資本比率が右肩上がりで、しかも70%を超える(金融関連を除き30%以下はリスク大)
過去5年間のROEが20%以上(新興企業は例外あり、成熟産業では10%以上)
流動比率200%以上(120%以上は適、100%以下は不適)
PCFRが安定的に低値(PCFR=PERの欠点を補うため、同業他社との比較には欠かせない指標)
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何をもって割安なのか、自分で納得できれば買います。
パナソニックは、割安割高以前にアウトオブ眼中です。
Kaminaさん、コメント有難うございます。
パナソニックがOut Of 眼中というのは正しいご判断だと思います。
仮に何処かの企業が救いの手を差し延べて株価が上がったとしても
確率論で考えると機会損失を蒙る可能性は50%以上に達すると思うので
個人的にはギャンブルの域という認識を持っています。
>何をもって割安なのか、自分で納得できれば買います。
割安の判断は大変難しいと思いますが
割安を一定の法則で定義付けたとしても
株価がその通りに動くとは限りません。
ですからKaminaさんのように、ご自身の判断基準をお持ちの方にとっては
私の日記は釈迦に説法だったと思います。その点は何卒ご容赦下さい。
つまり画一的な判断基準は意味が無く
最終的には自分自身の経験が頼りということでしょうね。
因みにこの日記で私が最も言いたかったのは「思い込みの」怖さです。
「思い込み」は無意識のうちに自分自身を支配してしまうことが多いので
それが投資判断を誤る大きな原因になり兼ねないということです。
もう一つは、同業他社との比較に時間を割くことは
より公正な判断が出来ると同時に、「思い込み」解消にも繋がると考えています。
財務指標の判断については
初心者の方で時々誤解されている方が居られるようなので
老婆心で書かせて頂きました。
この日記は、良い内容だったので、コピペしてます。
文章が多いので、確認するのはだいぶ後の暇なときになりますが・・・。
お褒めに与り有難うございます。
私は初心者の頃(今も大して変わりませんが)失敗の連続でしたので
失敗例も成功例も必ず記録して原因を突き止める様にしています。
ですから私の講釈の大半は自分自身の記録(経験)で
今でもたまに読み返しては反省しています。