有る日、あるスーパーの店内で、窓際にテーブルと椅子が幾つか並んでいる食事が出来るスペースで、こんな話を聞いた。
2人の中年の男が話していた。見なりは、いかにもこれは酷いと思う服装で、洗濯しているかも疑問で、生活に疲れた風で、頭などはぼさぼさで髪を櫛でいい加減に梳かしていた。仕事が無く、明日の生活にも困るようだった。
「仕事と言えば、警備と清掃とシルバーならある。」
「しかし、シルバーはその年になるまで出来ない。」
「履歴書を会社に出しても、30倍くらいで、書類選考されてしまう。」
「今は、会社が強気である。」
「幾らでも、希望者はいる。」
こんな話を、一枚の募集要項を見ながら、話していた。車の運転手募集だった。その話を聞きながら、明彦は自分の今の職場と、それから、子供の転職を考えてみた。この不景気だ。辞めたら、それこそ、仕事が無い。