高齢化の進展で介護予防の重要性が増しているのを受け、厚生労働省は16日、国による“運動のすすめ”とも言うべき「運動指針(エクササイズガイド)」を改定する方針を決めた。新たに70代以上も対象とし、庭の草むしりや農作業など日常生活の中で積極的に体を動かすことを呼び掛け、健康維持につなげる。
介護を受けずに自立して生活できる期間を示す「健康寿命」を延ばすため、厚労省は市町村の介護予防事業などで役立ててもらいたい考え。専門家による検討会を近く設置、詳細な内容を詰める。
厚労省によると、2006年に策定された現行指針は20~60代の利用を想定。生活習慣病の予防などのため特定保健指導でも使われている。
運動の種類や日常生活での活動ごとに、エネルギー消費量を「エクササイズ」という独自の単位に換算して例示。「屋内の掃除20分」や「子どもと遊ぶ15分」「軽いジョギング10分」「水泳7~8分」などが1エクササイズに相当するとし、1週間に23エクササイズ以上を推奨している。
今回の改定では70代以上の高齢者も利用しやすいよう、運動や日常生活上の活動メニューを多様化。高齢者の健康維持には、骨や関節、筋肉が衰えて要介護や寝たきり状態につながる「ロコモティブ症候群」の防止が重要なことから、予防効果があるといわれる軽いスクワットや片足立ちなども盛り込むか検討する。