少々長いですが…
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/121014/mcb1210141616009-n1.htm
日本では昨年3月に発生した東日本大震災で東京電力福島第1原子力発電所が大事故を起こして以来、反原発運動が活発ですが、米国ではいま、エンタメ業界が中心となって、最近、米国内で産出量が急増している新エネルギー「シェールガス」の開発に対する激しい反対運動が起こっています。
「シェールガス」とは、頁岩(けつがん)(=シェール)という地中の固い岩盤層に閉じ込められた天然ガスのことで、これまでのガス田ではない場所から生産されることから「非在来型天然ガス資源」と呼ばれています。
米国では昔から有望なエネルギーとして知られていましたが、2000年以降、地下深く井戸を掘り、ガスが閉じ込められているシェール層に高圧の水圧をかけて割れ目を入れる「水圧破砕」と呼ばれる掘削・採取技術を確立。生産コストが一気に下がったため開発ブームが起きているのです。生産量の急増により、液化天然ガス(LNG)の安定供給と価格安定にも大きく貢献しています。
そのため「シェールガス」には経済成長を大きく促す力があるとの期待が高まっており、オバマ政権は「国産エネルギーの増強」を掲げ開発を推進しています。日本でも原発停止で代替火力発電用のLNG輸入が急増していることから、大きな期待と注目が集まっています。
ところがこの一見、良いことずくめの「シェールガス」に、元ビートルズのジョン・レノンさんの息子で、ミュージシャンのショーン・レノンさんが真っ向から異を唱えたのです。
ジョン・レノンの“約束の地”だ…ガガらスター180人
8月27日付米紙ニューヨーク・タイムズは、父ジョンがニューヨーク州で購入した農地を含む環境が「シェールガス」の開発で破壊されるとのショーンさんの寄稿を掲載。これが大きな波紋を広げました。
寄稿によると、この農地はニューヨーク州デラウエア郡の北端にあり、父ジョンと母オノ・ヨーコさんがショーンが生まれる前に趣味で酪農を楽しむため購入したのだそうです。
ところが数カ月前、突然、地元の高校でガス会社が開発計画の説明会を行い「水圧破砕」でガスを生産し、一帯にパイプラインも張り巡らせることが明らかになりました。
この計画に、農家を中心とする地元住民のほとんどが反対しましたが「会社側は意に介さず、計画を実行するようだった」(ショーンさん)ことから、ショーンは「シェールガス」について自分で調べました。
その結果、「水圧破砕」では化学薬品を大量に使うことから「クリーンなエネルギーといわれているが、ガス井戸1カ所につき、有害物質を含む1900万リットルもの水が必要な真に汚いエネルギーだ」と指摘。また「生産開始から20年以内に漏れるメタンは二酸化炭素の105倍も強力な温室効果ガスだ」とし、地球温暖化にも悪影響があると断言しました。
専門家からは採掘に伴い地震を誘発する可能性も指摘されているうえ、「水圧破砕」で使った水は大量の化学薬品を含んでいるため、火を近づけると燃えるといいます…。
さらにショーンさんは「この農場一帯の水の汚染がニューヨーク州全体の水の汚染に直結する」と記し、「われわれの水や生活、地球を次世代に残すため、すべての『水圧破砕』に反対する」と訴え、アンドリュー・クオモ州知事に、ニューヨーク州での開発計画の見直しを訴えました。
既にヨーコさんはクオモ州知事に7月「水圧破砕と呼ばれる方法で簡単に金儲けしようとする人々が米国の将来を台無しにしようとしています」との内容の書簡を送っています。
ショーンさんはヨーコさんとともに「シェールガス」開発のための「水圧破砕」に反対するアーティスト団体を設立。8月29日にニューヨークのマンハッタンで設立会見を行いましたが、8月31日付米誌タイム(電子版)によると、この団体は元ビートルズのポール・マッカートニーさんとリンゴ・スターさんのほか、米人気女性歌手のレディー・ガガさん、女優のグウィネス・パルトロウさん、アン・ハサウェイさん、ユマ・サーマンさん、男優のヒュー・ジャックマンさん、アレックス・ボールドウィンさんら計約180人ものスターの賛同者を集めるなど、力を増しています。
陰謀?うごめく産油国ファンド
そして、この反対運動がさらに広がりそうな出来事が起こりました。10月7日付米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、人気ハリウッド・スター、マット・デイモンさんが主演する米新作映画で、12月28日に全米公開される「約束の地」(ガス・ヴァン・サント監督)が、「水圧破砕」による環境や人体への悪影響について描いているとして、エネルギー業界が猛反発していると報じたのです。
米の映画情報オンラインデータベース「IMDB」などによると、この映画は、デイモンさん演じるガス会社のセールスマンが「シェールガス」の採掘権を得るため、米東部ペンシルベニア州の農村を訪問した際、人生を変える出来事を体験するという物語で、デイモンさんは共同で脚本も執筆しています。
WSJに対し、米国独立系石油協会の代表者、ジェフ・エシェルマン氏は「この種の映画が表現しようとする内容に対処せねばならない」と怒りましたが、映画の配給元であるフォーカス・フィーチャーズのジェームズ・シェイマス経営最高責任者は「まだ誰も見ていない映画に対し、すでに反対のキャンペーン運動が組織されていることにとても驚いています」と困惑混じりにコメントしました。
また、この映画に出資している社会派ドキュメンタリー作品専門の映画・テレビ番組制作会社「パーティシパント・メディアLLC」の経営最高責任者ジム・バーク氏はWSJに「この映画は、国民の健康と安全のための透明性と規制の重要性を描いています」と石油業界に1歩も譲らない姿勢を見せています。
しかしこの映画について、ひとつ気になることがあります。産油国で知られる中東アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ政府が一部出資するファンドが制作資金を融通しているのです。
このファンドは過去にも「パーティシパント・メディアLLC」が手掛けた複数の作品に投資しており、今回の映画への投資についてもWSJに「作品のジャンルや主題は気にしていない」とのんきに話しています。
とはいえ「シェールガス」の大ブームで安い天然ガスが市場を席巻し、石油業界の収益を大きく圧迫している米国内の状況を考えると、この映画にアブダビ政府が関わっている事実は注目に値します…。
いずれにせよ「シェールガス」の開発が自然環境などに与える悪影響について、今後世界中でさまざまな論議が起こりそうです。”
色々な情報が多くて混乱しそうですが…。
確かに調べてみるとシェールガスには…
1.普通の天然ガスと比べると地球温暖化につながり易いガスの構造になっている。
2.水圧破砕方式を使用すると、水質汚染につながる。(本文には化学物質の入った水が引火するとかの文が有るが確かに蛇口に火を近づけると引火したとかの話は有るらしい)
3.水圧破砕方式は地震の誘発が起こる。
4.そもそも水圧破砕方式を取ると大量の水資源を確保する必要が有る。
…この辺りのリスクが有るようです。
まぁ夢のエネルギーって程では無い様ですね。
どんなものにもリスクは有る。それにどう向き合うのかなんでしょう。
この運動も、それを物語っている様に見えますが…。
(まぁ今回の場合、単に環境汚染に対しての住民運動だけでなく、それに関わるセレブや中東のエネルギ系ファンドの思惑や利害が絡んで、話を一層複雑化させている訳ですが…ね)