プロの手口か、愉快犯か 以前から危険性指摘も

arama-さん

 インターネット上の掲示板などに殺人や破壊の予告をしたとして逮捕された大阪と三重の男性が、パソコンの別人による遠隔操作の可能性が浮上し、相次ぎ釈放された。遠隔操作が事実とすれば、過去にほとんど例のない「第三者による成り済まし」。専門家は以前からその危険性を指摘していた。犯行はプロの手口か、愉快目的か―。

 ▽乗っ取り

 インターネットに接続するパソコンには、機器ごとの識別番号であるIPアドレスが割り当てられる。大阪と三重のケースでは、掲示板への書き込みで男性のIPアドレスが残っていたことが逮捕につながった。

 しかしその後の捜査で、遠隔操作できる特殊なプログラムが男性のパソコンに取り込まれたことが判明。第三者が男性のパソコンを“乗っ取り”、触れることなく操作していた可能性が出てきた。その場合は「一つのパソコンを2人が動かす状態」(捜査関係者)となり、男性に成り済まして掲示板に書き込むこともできる。

 ▽新種プログラム

 プログラムを作ったのは誰か。捜査関係者は「新種のもので、一般に出回ってはいない」と説明している。大阪の事件ではプログラムは既に削除されており、第三者が遠隔操作で削除した可能性もある。知らないまま自分のパソコンが乗っ取られ、その痕跡も消される―。捜査関係者は「成り済ましが事実とすれば、こんな複雑なものを仕込むのだから、自分たちに捜査が及ばないよう細工している可能性はある」と話し、パソコンに精通したプロによる犯行との見方を示した。

 ▽感染ルート

 一方、専門家によると、4~5年前から他人のパソコンを遠隔操作する「ボット」と呼ばれるウイルスの存在が指摘されていた。大阪や三重のケースとの関連は不明だが、予期しないうちにパソコンが乗っ取られる危険性は決して目新しい話ではないという。

 森井昌克もりい・まさかつ神戸大教授(情報通信工学)は「専門家の間ではボットへの危機感があった。これまで犯罪にまで発展しなかったのがむしろ幸運だったぐらいだ」と話す。

 森井教授によると、パソコンに詳しい人にとってボットの仕組みはそれほど複雑ではなく、入手も簡単。感染ルートは「怪しいメールやインターネットサイト」だ。

 今回のケースが第三者による成り済ましだった場合、森井教授は「特定の人をおとしめる目的も考えられるが、不特定多数にウイルスを送り付け騒ぎを起こすのを狙った愉快犯である可能性もある」と指摘した。

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