自民党は角栄以来(1975~)、公共事業バラマキ政策を取ってきた。
これは当初は左翼政党(共産党、社会党、今の民主、社民)の福祉バラマキ政策に対抗する意味もあったが、それ自体が大きな利権ネットワークを生み出すことにもなった(角栄の本意は利権ネットワークの構築)。
そのネットワークは、政治家、バラマキで潤う地方有力者(支持母体)、官僚(支持母体)、官需企業もしくは企業の官需部門(支持母体)、、で構成される。
公共事業バラマキ政策は、税金や国債(国民の借金)で無駄なハコ物などをガンガン作り、官需企業・地方有力者を儲けさせ、そのキックバックで利権政治家・官僚の懐が潤い、利権政治家はその金で地方票を買い、他の政治家・官僚・マスコミを買収し、連続当選して権力を強め、その権力で予算(元手は税金や国民の借金)を分捕り、無駄な箱物をさらにガンガン作る、、、この繰り返し。
こういう政策を繰り返すと何が起きるか?
1) 多くの政治家、官僚、マスコミが利権犯罪(税金搾取)の弱みを握り合うことになるので、誰もこの利権システム、利権ネットワークから抜けられなくなる。
2) 権力維持のため、絶えず利権システムを回さざるを得なくなる。 自動的にイージーに権力と金を得られるシステムなので、利権システム肥大化の欲求が常に働く。
3) 無駄な箱物作り等に、国家資金、人材が集中されるので、一時的に経済成長がアップしても、潜在成長率は低下していく。 ゆっくり、徐々に国が衰退し、国民益が蝕まれていく(国債、国民の借金は膨張する反面、国民所得は伸びなやむ)。
4) ゆっくりと国が衰退していくうえ、バラマキでの景気アップも度々あるので、衰退に気付きにくく、なかなかそこから抜け出せない茹でガエルの状況になる。
茹でガエルでゆっくり熱せられ、そこから抜け出せない状況は、急激に熱せられて、そこから飛び出す状況よりもタチが悪い。
民主党政権(福祉バラマキ政策)での急激な国力衰退よりも、自民党政権(公共事業バラマキ政策)での緩慢な衰退のほうが、改革の機を失う分、国民益の喪失は大きくなりうる(角栄がいなければ、改革は1980年代に終わり、日本は今でも4~5%の高い潜在成長率を維持していたかも)。
さて、自民党は公共事業バラマキ政策を40年近く続けて来たので、利権犯罪の弱みを握られていない政治家はまずいない。 利権ネットワークから離脱出来る政治家はまずいない。
つまり、自民党政権では改革は出来ず、長期低落の流れは絶対に止められない。
自民党の政治家がやる限り、改革は骨抜き、中途半端になる(小泉改革も中途半端で終わり、逆に後退した。悪徳官僚は焼け太りした。自民は左翼に間違った対抗をして、自身もコキュトスに堕ちてしまった政党)。
実際、自民は、今も巨大防災事業(10年で数百兆をばらまく)を政策に掲げている。
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防災事業は何百年も先に起こる被災を防ぐ事業なので、現在の経済には直接、意味が無い。
穴を掘って埋め直すのと同じくらい無意味(以前の箱物つくりより性悪な公共事業)。
事後、建設業界では過剰雇用となり、これが大きなデフレ圧力になるでしょう。
で、それに対してインフレ目標をやるので、バブリー化していく可能性大。
これは、土地神話の不動産過剰投資と緩和政策で起きた90年バブルの二の舞になる。
このバブル崩壊後、日本の潜在成長率は更に低迷していくでしょう(バブルもデフレも、投資資金・人材の最適配分を歪め、劣化させるので、潜在成長率低下方向に作用)。
防災事業への投資はより長い期間をかけて少しずつ、事業効果が確実に高い地域から行うのが経済的にベスト。
あらゆる地域を対象に集中投資する自民の防災事業政策はその対極にあります。
事業効果よりも利権増大や地方有力者(支持母体)へのバラマキばかり考えるからそうなる。
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民主の福祉バラマキ政策は、公共事業バラマキ政策の『無駄な箱物』を『過剰福祉(不要なバラマキ)』に、『地方有力者』を『国民全体』に置き換えたもの。
これは勤労意欲を削いで潜在成長率を低下させる。 国民所得を伸びなやみさせる。
勤労意欲が低下するので、潜在成長率低下、国民所得伸び悩みの度合いは、公共事業バラマキ政策より大きい。
一方、政府債務(国民の借金)の膨張も、国民全体にばらまくので、公共事業バラマキ政策より大きい。
つまり、福祉バラマキ政策による国家衰退は、公共事業バラマキ政策よりも急激になりがち。
実際、民主党政権の数年間で経済はズタズタになりました。
ちなみに民主党のエコ政策は、自民の公共事業バラマキ政策と瓜二つ。 無駄な箱物造りが、非効率なエコ(太陽光など)への割高投資(税金バラマキ)に化けただけ。