暑い夏も終わって、いよいよ読書の秋になりました。電子書籍端末として、7月には楽天の「kobo Touch」、9月にはソニーの「Reader PRS-T1」、10月にはアマゾンから「Kindle」が、それぞれ1万円を切る価格で発売されようとしています。
kobo Touchは、発売当初のソフト面での不具合から、売れ行きに不安がもたれましたが、その後は順調に売れ行きを伸ばし、年内の100万台の出荷も夢ではないようです。ソニー製品も、機能的にはkobo Touchより優れた点もあり、ヨーロッパでの実績や日本での経験から、年末商戦の目玉になることも想定されます。
これらの製品は、長時間再生、低疲労、低価格という面で、白黒画面(電子ペーパー)を採用しています。液晶を使ったカラー端末として、すでに普及しているスマートフォンやパソコンなどの汎用機との違いを、どのようにユーザーに訴え、競争に勝ち残れるのか勝負はすでに始まっています。
アニメやゲームあるいは写真といった、直接目に訴える作品を見るには、カラー画面に軍配が上がりますが、従来型の本をイメージした場合には、今回各社が競っている白黒の端末に分があるような気がします。
ユーザーの関心は、当面各社がどれだけ魅力のある出版物を揃えるかにあるようです。ただ、既存の印刷文化は、既得権益をなかなか手放そうとはしません。アメリカでは書籍の流通業がこの分野に進出して、出版物の電子書籍化の流れを作りました。日本でもいずれはこの流れが定着してくるとは思いますが、壁はそう簡単には乗り越えられるとは思えません。むしろ、想定外の売れ行きを見せている端末の出現で、読者がどれだけ電子書籍を受け入れてくれるかが鍵となりそうです。
いずれにしろ、この分野の成長を担っているのは、ハードではなくソフトです。コンテンツを制したところが、端末でも生き残ることができます。現在のところ、楽天もソニーもアマゾンも、出版社の抱きこみに懸命のようですが、コンテンツの分野で見落としてはならないのが、普通の人が自分の気持ちを人に伝えようとする欲求です。
表現の方法は多様化していますが、自分を表現しようとする欲求はいつの時代でも変わることがありません。私も、山行の記録を東芝のルポでフロッピーに残したのを手始めに、趣味や小説などの分野で、書き下ろした作品をワードに記録してきました。これらの作品の一つは、ある出版社から紙の本になり、1万部ほどの販売を達成しました。ただその後は、出版不況の中私の作品を出版してくれる会社はありません。
よほど名の通った人か話題性のある原稿しか本になりません。そのため、自費出版に頼らざるをえなくなるのでしょうが、費用がかかる上、作った本の始末が大変です。関心の薄い人に唯で送りつけても、本当に喜んでみてくれる人は何人いるのでしょうか。
ホームページという手もあります。これだと費用は掛からない上に、広く読んでもらえそうです。私もホームページ作成用ソフト「ホームページ・ビルダー」を買い込み、手間暇をかけて、ワード原稿をホームページにして、現在でも運用を続けています。最近では、SNSにも投稿し、考え方についての反応を見るようにしています。
ただ、ホームページにしろ、SNSでも、読者の反応がいまひとつ伝わってきません。最大の欠点は、友人子供たちに「本を出したよ!」と自慢しても、「パソコンで見てくれ」では、実感がわきません。それに、パソコンの操作ができない人もけっこういるのはびっくりです。
私は現役時代から、趣味が多いほうで、30歳前に試験合格した通訳案内業は、引退後もやっていますし、山登りでは百名山の登頂、海外旅行ではハワイに1ヶ月ロングステイ、アメリカ本土での5万マイルドライブ、それに株式投資など、普通の人よりは遊ぶことに事欠かない状況です。その中でも、「物書き」は、最後に残された砦のようなものになってきました。唯どうやっては発信するかです。
そんななか、操作性に優れ、本に変わる端末が出現し、いよいよ誰でも安価に本が出版できるようになって来たのです。早速、ネットで電子書籍を出版するDL-MARKETという会社会社を見つけ、同じものをPDFとEPUB形式で電子出版しました。それを楽天の「コボタッチ」で、閲覧しようとしたのですが・・・。
この続きは次回にして、株の話にしたいと思います。貴重なスペースを、本の自慢話に使ってしまい申し訳ありません。
来週からは10月。今年もあと3ヶ月、もう勝負は付いたと達観している人も多いのではないでしょうか。私は違います。
8,850円で始まった今年の株価は、3月に10,255円の高値をつけ、6月に8,239円の安値で反転し、現在は8,870円付近にあります。3月ごろの予想に反して、中国の減速と尖閣諸島問題での暴動から日本経済への影響が論ぜられています。ここにきて、中国経済に依存するリスクが、にわかに吹き上がっていますが、国としての適切な対応があれば、そう悲観する問題ではありません。
簡単な話、円高が10%是正されて、ドル円で85円、ユーロで110円になれば、日本の企業収益は、中国リスクを十分にカバーして増益基調が維持されます。そうなればデフレが修正され、眠っていた資産がリスクオンに変わります。年末までに1万円、来年は2万円が夢ではなくなります。
問題は、このような対応が国としてできるかです。それができるのは、年内に選挙を通じて政権を交代させることしかありません。株式相場は半年先を読んで動きます。政権と日銀総裁の交代が、現実味を帯びてくると、外国人も、日本の富裕層も動きます。
私はそれに掛けて、行動を起こしています。