明彦の受験勉強中に、「社労士の免許は世間で、一応、一目置く免許だ。」と、口癖にいっていたことで、秋子が初めたのである。
その社労士の試験日は、年一回で、8月の第4日曜日と、例年決まっている。秋子は、その試験準備に、ここ2年間準備してきたのである。それを、会社は試験日に休暇をくれないというのなら「あんなとこ、辞めてやる。」と言いたくなるのは、最もな話である。従業員あっての会社である。その従業員を会社は大切に扱わなければならない。
1998年からの、歴代の日銀総裁の誤ったデフレ政策により、その結果、日本は円高と不況にみまわれ、日本の産業は惨憺たる状況である。政治が悪いと言っているが、政治よりもこの不況の最大の原因は、日銀の誤った金融政策にある。国民はこの事をはっきりと自覚すべきである。
円高は良いことだとか、強い円(円高)になれば日本の価値が上がるという全く、これはもう経済学の基本理論を知らないし、誤った金融政策が、国民を苦しめているのである。デフレ経済の怖さを、今、国民が感じている。そして病気が進行してしまうと、回復不可能になってしまったのと同じく、このデフレ経済はすでに、穏やかなインフレにもっていくのは不可能かもしれない。
かつての、松下電器の松下幸之助は、会社の従業員を大切に扱ったとその著書で聞いている。それが今のパナソニックになって、円高不況に襲われ、もうどうにもならない所まで追い詰められ、従業員を希望退職の名のもとに、解雇しているのである。同じく家電のシャープはどうか。かつては、液晶と太陽電池のシャープであった。そのシャープがドル箱であるはずの、太陽電池部門を売却するという(シャープは、確認の要あり)、これはもう、会社本体を売りに出したに等しい。日本の家電製造会社はここまで、追い詰められているのである。
( 筆者からのお願い。このシャープですが、太陽電池部門を売却か、液晶部門の売却か、どなたか、知っていれば、教えて下さい。文を修正いたします。)