公開日時
2012/9/6 2:00
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大日本印刷と凸版印刷はそれぞれクレジットカード搭載のスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)を世界中で使える仕組みを整備する。国際共通技術を使った決済処理システムを国内のクレジットカード会社に提供、消費者が旅行で海外に出かけても普段使う携帯端末で決済できるようにする。利便性が高まり同機能を搭載した携帯端末の市場が拡大しそうだ。
両社が始めるのは「NFC」と呼ばれる世界共通のIC技術規格に準拠したクレジットカードの決済業務サービス。クレジットカード会社に向けて9月からクラウド方式で低コストで提供する。
同技術は海外で先行している。米ビザ・インターナショナルが「ペイウェイブ」、米マスターカードが「ペイパス」の名称で米国や韓国などに提供しており、対応した携帯端末もある。
スマホなど携帯端末を使ったクレジットカード決済は国内ではNTTドコモの「iD」やJCBの「クイックペイ」がある。利用登録する携帯端末は約3600万台あるが事実上、日本国内でしか使えない。
大日本と凸版はNFC対応システムを日本のクレジットカード会社に提供して利用環境を整える。携帯クレジット利用者の個人情報や利用状況の保管、クレジット機能をスマホなどで動かすための専用アプリの配信、申込書類の印刷と配送といった業務も請け負う。
店舗に設置する読み取り機なども世界共通技術の活用で量産効果が期待できる。クラウドの活用も含めシステムなどの構築費用は10分の1に抑えられる見通し。
新技術に対応するスマホなどの携帯端末は年内にもNTTドコモとソフトバンクモバイルが発売する予定。KDDIはすでに一部機種に採用している。2015年には国内で出荷されるスマホの半数以上がNFC搭載になるとの予測もある。
大日本と凸版はクレジット用のICチップも生産しており、NFC技術の普及で新たな需要開拓につなげる。