米大統領選・共和党大会
8月30日、米共和党の全国大会は同党の大統領候補に指名されたロムニー前マサチューセッツ州知事が指名受諾演説を行った(2012年 ロイター/Eric Thayer) [拡大]
【ワシントン早川俊行】11月の米大統領選に向け、野党共和党の全国大会で大統領候補に指名されたミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(65)は30日夜、フロリダ州タンパの屋内施設タンパベイ・タイムズ・フォーラムで指名受諾演説を行った。ロムニー氏は、オバマ大統領が掲げた「希望と変革」に対する国民の期待は、過去4年間の失政で「失望と分断に変わった」と批判。「私が大統領に選ばれたら、米国の再生とより良い未来のために全力を尽くす」と政権交代の実現を訴えた。
ロムニー氏は、実業界で豊富な経験を持つ経済通であることをアピールしながら、「私は1200万人の雇用を創出するプランを持っている」と主張した。
具体策として、①2020年までにエネルギー自給体制を確立②連邦債務削減と均衡予算の実現③企業向け減税と規制緩和で中小企業を支援④オバマ大統領が手掛けた医療保険改革法の撤廃――などを挙げた。また、「私はオバマ氏と違い、中間層への増税は行わない」と言明した。
社会問題では、「私は生命の尊厳を守り、結婚の制度を支持する」と述べ、妊娠中絶と同性結婚に反対姿勢を示した。
外交・安全保障では、「どの国も米国を試そうとしない強力な軍事力を保持する」と、オバマ氏が進める国防費削減の流れを反転させる考えを表明。また、イランやロシアに対するオバマ氏の弱腰姿勢を批判し、「強い米国」の復活を目指す意向を示した。
ロムニー氏は、オバマ政権発足後、国民生活が一段と厳しくなったことについて、「大統領は米国を失望させた。なぜなら米国を正しい方向に導いていないからだ」と批判。「過去4年間の失望と決別する時だ」と述べ、政権交代と米国再生に向け国民の「結束」を呼び掛けた。
ロムニー氏はオバマ氏に比べて好感度が低いことが大きな弱点になっていることから、演説では自らの生い立ちを紹介するなど人間味をアピール。モルモン教徒であることにも言及した。
ロムニー氏の演説で共和党大会は閉幕。民主党大会は9月4日から3日間、ノースカロライナ州シャーロットで開かれる。
2012/08/31 13:43