今年の後半に入って早くも1ヶ月が経ちました。この間、海外相場の上昇を横目に日本の株価はさえません。3日の海外相場は、ヨーロッパもアメリカも爆あげ!「それ日本も」と考えたいのですが・・・。
「待てよ!月曜の寄り付きを買った人は、週末には投げているよ」
なにしろ、ここ1年間、株価が下げる理由は、きまってヨーロッパ問題。欧米の株価が戻すと日本も少し上げますが、欧米の戻りとは裏腹にその差は広がる一方。なんで、ヨーロッパから一番遠いところにある日本の株価があがらないの・・・。
答えは簡単です。日本人(の富裕層)が買わないからです。なぜ買わないのか・・・、いろいろあるでしょうが、デフレが最大の要因です。その先には、「働かなくても食えるようにした政治」にあると思っていますが・・・。
自国の株を買わない国の株が上がるわけがありません。それを見越して、相場は完全に外国人のもの。外国人はほかの国でのリスクを日本市場でヘッジしているのです。
8月3日のCNBC「ラップトゥデイ」で、ゲスト出演者は、9月までに今年の安値8,135円を割り、7,600円を目指して下落するとしていました。理由は、需給とチャートのようです。団塊世代の年金調達の売りが予想されること、信用で難平買いをした個人投資家が売りを出すこと、などを相場下落の原因にあげていました(チャートについては略)。
私の相場観は、6月上旬にこの欄で発表したように、総選挙が近いことを条件に「年末までに10,000円を超えるまで上昇する」で変わっていません。
私は、株価は需給で決まると思っていますから、何よりも需給動向に気を配っています。現在の上がらない相場は、需給関係から見ると、外国人の売りを日銀のETF買いと、企業の自社株とで支える構図になっています。ただ「下げる勢力は儲かるから、上げる勢力は相場を支えるだけ」の力関係から、絶えず下げのバイアスが働きます。
外国人のヘッジ売りは先物だけかと思っていたら、個々の銘柄にも大規模なカラ売りを仕掛けています。最近大きく値を下げている銘柄には、暴落前に仕掛けた外国人のカラ売りが見え隠れしています。
幹事証券をやっている外国証券までも、その会社にカラ売りを仕掛けているという話を先日のCNBC放送でやっていました。その会社の経営状況を一番よく知っているはずの幹事証券がこんなことをやって、インサイダーにならないのでしょうか。それだけ外資は儲けに対して厳しいのかもしれません。
そんなことから、外国人が売っている会社は下がるという連想が働いて、「それならば早いうちに」とばかりに決算発表月は、株価が低迷します。今年はそれが顕著に現れました。
一方で株価と経済の状況を見れば、現在の株価の割安は際立っています。つまり現在の株価は、ファンダメンタル面から見れば考えられないほど割安です。PERは10倍台まで下落していますし、債権と配当との利回り格差(スプレッド)は、私が株を始めて以来の開きになっています。本来なら相場の「見えざる手」が働いて、株価を適正な水準まで引き上げるのですが、その担い手が不在のまま、日銀や企業が買い手となって相場を支える始末です。
それでは、こんな状況がいつまで続くのでしょうか。需給についていえば、先のコメンテーターがあげている公的資金からの売りも、個人投資家の信用買いの投げも、根拠が薄弱です。いまどき個人投資家が、信用でナンピン買いを入れるわけがないでしょうし、年金資金も損を顕在化してまで売り急ぐこともないはずです。
それどころか最近では外人売りに合わせて、個人の信用売りが目立ちます。逆日歩銘柄が目立って増えてきたことが何よりの証拠です。発表された主体別の売買動向によると外国人は連続で売り越しですが、中身はカラ売りが主体のようです。外国人の現物は、リーマン以降ほとんど売られてしまいました。カラ売りはいずれ買い戻さなくてはなりません。
来週の日銀政策委員会で株式買い取り枠の拡大も期待されているようですし、企業の自社株買いも今年は空前の規模になりそうです。私の見る限り、需給は確実に改善に向かっています。
選挙でどの党が与党となっても、行過ぎた「働かなくても食べられる制度」の改革に動くでしょうし、雇用対策とデフレ収束とを最優先課題とするはずです。日銀総裁の任期も来年の4月までとなりました。次の総裁は、少なくとも今よりは市場の声を聞くようになるでしょう。インフレの匂いをかぎつければ、眠っていた個人資産がなだれを打って株式に向かいます。
もう少しの辛抱です。今回の下げで業種別の格差がいっそうはっきりしました。「株式市場での成功は、的確な相場感と銘柄の選択」につきます。ただ黙ってみているのではなく、取捨選択をいっそう厳しくして、ポートフォリオを入れ換え、次の相場に備えてゆきましょう。
私の考え方が楽観的過ぎるかどうか、これからの株価が証明してくれます。