両首脳は電話会議後の共同声明で、独仏両国は17カ国から成るユーロ圏を守る「強い義務」を共有しているとの認識を示した。6月28、29両日の欧州連合(EU)首脳会議での決議を「迅速に」実行することを呼び掛けた。
両首脳は、ユーロ圏が崩壊に向かっているとの市場観測の打ち消しを図っている。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も前日にユーロを守る決意を表明、それを疑う投資家に対し警告していた。
ECBは向こう数週内に流通市場で国債を購入する計画を準備していると、仏紙ルモンドがこの日報じた。その後は、各国政府が資金を出す救済基金が発行市場で購入する計画だという。
バークレイズのチーフエコノミスト、ジュリアン・キャロー氏(ロンドン在勤)は「ECBは市場が間違っていることを知らしめるため、大規模な買いに出ると思う」と述べた。その上で、「中銀そのものが市場になってしまう」ほどの購入規模にはならないだろうと付け加えた。
ドラギ総裁の発言や報道を受けてECBの行動への期待が高まり、スペイン債は上昇している。ただ、ドイツ連邦銀行(中銀)の報道官はこの日、ECBによる国債購入は金融政策と財政政策の境界をあいまいにすると説明。ECBの購入が債務危機解決のための最善方法とはならないだろうと強調し、ドラギ総裁のユーロ防衛策にブレーキをかけた。
スペインでは銀行危機に加えて地方政府の財政難によって、全面的な国家救済が必要となる事態への懸念が高まっている。ギリシャのユーロ離脱懸念も再燃しているが、国債を購入しようにも恒久的な救済基金はドイツで合憲性が問われ稼働が遅れている。
このため選択肢としては、暫定的な救済基金の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)が国債を購入することが想定される。独財務省のコーテ報道官はこの日の記者会見で、EFSFには国債を購入する権限があると述べた。