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地震での損傷否定 政府事故調が最終報告書
東京電力福島第1原発事故で、政府の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)は23日、最終報告書をとりまとめた。事故の直接的な要因は津波との認識で、国会事故調が指摘した地震の影響には否定的な見方を示した。津波をはじめとした原発内の安全対策、周辺地域の防災対策とも不十分で「東京電力も国も安全神話にとらわれ、危機を身近で起こりうる現実のものと捉えられなくなっていた」と指摘した。
これで国会、民間、東電の各事故調と合わせ、主要な4事故調の報告書は出そろったが、事故原因の断定には至らなかった。政府事故調は、原発内は高い放射線量のため調査できないことを理由に挙げ、国や東電などは調査・検証を継続すべきだとした。
政府事故調の報告書は448ページ。昨年12月の中間報告以降に判明した事実を盛り込んだ。
東電の現場対応には中間報告でも注水操作の不手際を指摘していたが、最終報告では、冷温停止に成功した福島第2原発の対応と比べることで福島第1の問題を際立たせた。
福島第1の3号機では代わりの注水手段を確保しないまま冷却装置を止め、2号機では原子炉内の圧力や温度の監視を怠った結果、原子炉の冷却が中断した点を問題視。一方の福島第2では、常に炉のデータを監視して対応し、間断なく冷却できたとし「外部電源の有無など違いはあるにせよ、(福島第1での対応は)適切さを欠いた」と結論づけた。
地震の影響に関しては、非常用冷却装置の一部に損傷があったかどうかが問題となり、新たに原子力安全基盤機構(JNES)に解析を依頼した。
その結果から、津波に襲われる前は「少なくとも圧力容器の閉じ込め機能を損なう損傷はなかったと考えるのが自然」とした。
大津波に襲われる危険性を認識しながら東電が対応を放置した点に触れ「今回のような広域に甚大な被害をもたらす事故・災害は、発生確率にかかわらず対策を立てるという新たな防災思想が必要」と指摘。「想定外の大地震・大津波だから仕方がないと済ますことはできるだろうか」と行政や東電の姿勢を批判した。
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