解雇規制撤廃でも解雇規制強化でも、企業が払える総賃金は変わらない。 無い袖は振れない。
解雇規制が撤廃されても(首切り自由になっても)、労働者が得られる総所得は大して変わらないのです。
違うのは、解雇規制撤廃のほうが、労働者の流動化が進みやすく(新規採用も増えやすく)、起業も起きやすくなるということです。
労働者の流動化が進めば、雇用のミスマッチは絶えず小さくなり、社会全体として人材の最適配分が進む。 これは経済成長にプラスなので、中長期的に見れば、解雇規制撤廃のほうが労働者の得られる総所得は上がっていきます。
労働者の流動化が進むと、自分で起業したほうが得じゃん、と思うヒトも増えてくる。 起業が増え、労働者・経営者間の人材移動も増える(階級の固定化が無くなり社会的公正度が増す)。 これも経済成長にプラスなので、やはり、中長期的には、解雇規制撤廃のほうが労働者の得られる総所得は上がっていきます。
で、不況期の雇用保険など社会保険支出は、解雇規制撤廃のほうが当然増えますが、経済成長アップにより好況期の税収増で相殺される。 経済成長上昇に伴い、中長期的には、税収に比し雇用保険支出は小さくなっていきます。
つまり、解雇規制撤廃のほうが、社会全体として明らかにハッピー。 短期的なアンハッピーは、雇用保険で救われるのだから何ら問題ないのです。
ゆえに、欧州の構造改革では解雇規制削減方向に進んでいる。
それでも、日本では解雇規制が強化されるのは何故か?
それは、労働者の流動化は、労働組合の収入(組合費)の不安定化、労組幹部の収入と地位の不安定化、民主党の支持母体たる労組の不安定化、となるからです。
解雇規制撤廃で社会全体がハッピーになることからすれば、労働組合というのは実は、社会にとっていらない組織だということが良く分かります。
労組が、有害な社会主義思想(なぜ有害かは最近の日記に書いたとおり)の拠点になってることからすれば、労組は社会にとって有害な組織、むしろ積極的に無くすべき組織なのです。
労組増大、労組強化で起きることは、上で書いたことの真逆です、、、労働者の生活は苦しくなり、階級は固定化し、(税収が伸びないのに、雇用保険など社会保障費が増大して)国家財政は悪化し、労組幹部(献金先の民主党幹部も)の生活だけ裕福になっていく、、(--;
実際、米国では、労組の強い業界(鉄鋼・自動車など)は右肩下がりで所得低下、労組の無い業界(IT・バイオなど)は右肩上がりで所得増大になってます。
労組の目的は、労働者の保護というよりも、労組幹部(=労働貴族=民主党・社民党・共産党の議員だったりする)の生活向上であり、特に労組幹部と経営幹部が握り合っている日本においては一層、そうなのです。 法外な増税の他に労組費を支払う労働者は、二重に搾取されている。
さて、労組消失を実行するには、制度的に解雇規制を漸次撤廃していくことが重要です。 ある業界、ある会社だけ、解雇規制撤廃となれば、解雇後の再就職は難しいままで、そこに痛みが集中し、かつ経済成長浮揚効果は乏しいからです(多くの業界で自主的に労組廃止、という状況は労組幹部と握り合う経営者が多い日本、無能経営を労組幹部に守って貰っている経営者が多い日本では起きにくいかもです、、、株主の奮起=無能経営者排除が重要ですねえ)。
欧州の経済危機に学べと言って、増税はしまくるけれども、解雇規制削減には学ばない、、、おかしなことですね。
非正規雇用の縮減、人材派遣業の圧迫を、民主党政権・お役所が進める理由は、労働者の保護のためではありません。 労働者の搾取と、お役所・官僚支配の強化のためです(従前、社会主義批判の日記も参照のこと)