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期待値が正の売買規則

MDRの芝一樹です。
前回は投資で資産を構築するために本当に必要な4つの事についてざっくりと解説しました。これらのことは株式投資だけでなく、投資信託、FX、債権、先物といったほぼ全ての運用に応用可能な投資の本質とも言えることです。今回以降はそれぞれの要素についてより詳しく踏み込んで解説していきたいと思います。
今回は「期待値が正の売買規則を持っていること」について解説します。
まず初めに期待値というものについてまとめます。この文脈での期待値とは簡単に言って、全ての売買活動を平均したときに、1回の売買でどのくらいの損益が出るか、というものを表します。例えば勝率50%で、勝ったときの利益が10円、負けたときの損失が5円の売買規則では、

10円×50%+(-5円×50%)=2.5円

となり、一回売買する毎に+2.5円の利益が得られる計算になります。期待値が正の売買規則、とはこのサンプルのように一取引あたりの損益の期待値がプラスとなる売買規則のことを言うのです。
重要なのは勝率ではなくあくまで期待値である、ということです。この例では勝率50%であるにもかかわらず十分に資産を増やすことが可能ですし、例えば勝率が60%の売買規則でも勝ち取引の平均利益が5円、負け取引の平均損失が10円であれば

5円×60%+(-10円×40%)=3円+(-4円)=-1円

となり、この売買規則を運用し続けると、勝率の方が高いにもかかわらず、1回の取引で1円ずつ資産を減らしてしまうことになるのです。つまり、利益を出せる可能性のある売買規則とは、ただシンプルに期待値がプラスでありさえすれば良いのです。勝率や利益率は資産を増やせるかどうかについて直接の関係はありません。
ここまでお伝えすると、期待値がプラスになる売買規則を手に入れさえすれば利益が出ると思ってしまう人がほとんどです。しかし、実はこれだけでは相場で利益を出すことができません。
確かに期待値が正の売買規則は全ての投資活動の基本となる最も重要な要素です。しかし、その投資手法に長期的な再現性があり、かつ自分にとって運用可能で、適正なリスクマネジメントが行われなければ(売買規則だけではリスクマネジメントが足りないのです)その売買規則のポテンシャルを生かして相場で利益を上げる事はできません。
今回解説した「売買規則」はよく「トレーディングシステム」と呼ばれます。システムトレードと言えば多くの方にとって耳に覚えのある言葉なのではないでしょうか。システムトレードというとついついこの売買規則の部分だけがクローズアップされてしまう傾向にありますが、最後にお伝えしたようにそれだけでは勝つことはできません。もっとはっきり言うと、ちまたでよく言われる「システムトレード」だけでは負けます。
次回以降は売買規則のポテンシャルを引き出すために重要な、残りの3つの要素について解説していきたいと思います。
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