うるう秒挿入作業を行う大時計の制御板=明石市人丸町、市立天文科学館
日本時間のあす7月1日朝、一日を一秒間長くする「うるう秒」が世界で一斉に挿入される。世界標準時と地球の自転速度に基づく時刻のずれを直すのが目的で、日本標準時子午線が通る兵庫県明石市立天文科学館(同市人丸町)でも午前8時59分59秒の後、大時計が示す時刻に同60秒を加える作業が行われる。
もともと時間は、地球の自転1回を24時間とした「天文時」が使われてきた。現代に入ると、より精度を高めるため、セシウム原子の振動数から測る「原子時」を基に世界標準時が定められた。
ところが、極めて正確な原子時に対し、地球の自転は遅れが生じることが分かり、ずれを埋めるため、1972年に設けられたのが「うるう秒」だ。過去40年間に挿入されたのは24回で、今回は3年半ぶり。今年1月には国際会議で廃止が決まる可能性もあったが、当面の存続が決まった。
「うるう秒」は世界標準時の英国・グリニッジを基準に、12月31日か6月30日のどちらか、午後11時59分59秒の後に挿入されるため、日本では時差を計算して午前9時前の作業となる。
市立天文科学館は日本標準時を決める子午線上にあるが、大時計の時刻は実は、東京・情報通信研究機構から電話線を通じ“逆輸入”している。週1回、自動で交信を行って正確さを保っているが、うるう秒挿入の際は交信と交信のはざま。「時のまち」を掲げるだけに「短期間でもずれを放置できない」と、毎回、手作業で合わせている。
同館は今回、めったにない挿入作業を市民に経験してもらおうと、あらかじめ希望者を募集。代表2人が、同館3階にある大時計の時刻を管理する制御盤で、専用のボタンを押す。同館の鈴木康史学芸員は「子午線上の時計を1秒でも狂わせるわけにはいかない。天体と時間のつながりを市民が感じる機会になれば」と話している。
