政府は16日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働決定に伴い、5月に各電力管内に要請した今夏の節電目標を見直す作業に入った。関西への融通のため北陸、中部、中国に求めた2010年夏比で5%の目標は解除を検討。関西は5~10%に緩和し、四国も7%から5%に引き下げる方向だ。
大飯3、4号機が7月下旬にもフル稼働し、需給安定を確認した段階で目標を緩和する。節電期間が始まる7月2日(北海道を除く)から1カ月程度は当初の目標通りの節電を求められる。
需給が厳しい九州は10%、北海道は7%の目標を据え置く。数値目標を設けなかった東京、東北にも引き続き節電を要請。北海道、関西、四国、九州の4電力は、火力発電所のトラブルなどを想定して計画停電の準備を続け、区割りや手順を来週にも発表する。
目標が緩和される地域では企業や家庭の節電に伴う負担が軽減されそうだが、夏場に再稼働する原発は大飯の2基だけとみられ、全国的に需給が厳しい状況が続く。
関西で今夏予想される電力不足は10年夏比で14・9%。大飯3、4号機(出力計236万キロワット)がフル稼働すれば、夜間にくみ上げた水で発電する「揚水発電」も活用し、電力不足はほぼ解消される見込み。ただ、最低限必要な余力を確保するため5%超の目標は残す。
大飯の再稼働作業の遅れや予想以上の気温上昇などがあれば、北陸、中部、中国で一定の数値目標を残す方向だ。老朽化した火力発電所に頼る四国も、状況に応じ7%の目標を維持する可能性がある。
4電力が準備している計画停電は、中心市街地を含めて管内を細かく分け、電力不足の恐れが強まれば、各区域を順番にそれぞれ1日2時間程度、停電させる。救急病院、公共交通機関、官公庁の一部などは対象外とする。