厚生労働省は12日、食中毒の恐れがあるとして、牛の生レバー(肝臓)の提供を食品衛生法に基づき禁止することを正式に決めた。同日開いた薬事・食品衛生審議会分科会が「現時点では生で安全に食べるための有効な対策がなく、規制が必要」との結論で合意した。
同省は食中毒が増える夏場に備え、7月1日以降、焼き肉店などでの「レバ刺し」提供を禁止する予定。小売店が生食用として販売することもできなくなる。罰則規定があり、法定刑は2年以下の懲役または200万円以下の罰金。
食肉業界は「どんな食品にもゼロリスクはあり得ない。リスクを分かって(生で)食べる人はたくさんいる」と規制に反対してきた。厚労省は今後、有効な汚染防止策が確立されればあらためて提供の可否を検討する。
レバ刺しについて厚労省は昨年7月、全国の飲食店に客への提供自粛を要請。既にメニューからなくした店もあるが、一方で要請後も食中毒が4件報告されている。
同省が実施した規制案に対するパブリックコメント(意見公募)には約1500件が寄せられ、「レバ刺しは食文化だ」などと大半が規制に反対だった。
厚労省は昨年4月に発生した焼き肉チェーン店の集団食中毒を受け、ユッケなど生食用牛肉の提供基準を厳格化。より食中毒件数が多い生レバーへの規制の検討も始めた。同省の研究で牛の肝臓内部から重い食中毒を引き起こす腸管出血性大腸菌O157が見つかり、内閣府の食品安全委員会が今年4月、「提供禁止は妥当」との見解をまとめていた。