電子書籍を出版しました-その3

yuhsanさん
yuhsanさん

 

長年の夢であった本を出版しましたが、紙の本ではなく電子書籍でした。今回は出版してから2週間、著者の目で、紙の本と比較しながら、問題点、対処法それに提案です。電子書籍で出版をとお考えの方には必見かもしれません。

 

私は15年ほど前に、山の本を出版したことがあります。ちゃんとした出版社なので、原稿をワープロで作っただけで、校正、レイアウト、飾り付け、イラストなど、すべて出版社のプロがやってくれました。もちろん販売促進も出版社です。私はただゲラ刷り原稿に目を通しただけです。


今回の電子書籍では、すべて作者持ち。売れた代金の85%が出版社から還元されるのは、前回ご報告した通りです。ところで売れ行きは芳しくありません。潜在的な読者の数は、山に比べると10倍くらいと見ていたのですが・・・。


販売促進の差でしょうか。
相場環境があまりにも悪いからでしょうか。私なりに探ってみました。

 

一番目は、出版社の問題です。従来の出版物では、著者は同じ本を他社から出版できないのが通例です。電子出版についてはこの縛りがありません(契約を確認しましょう)。出版社によって得意な分野があると思いますが、できるだけ多くの出版社から同じ本を出版して、少しでも人目に触れる機会を増やしたほうがよいようです。


二番目は、表紙、目次、レイアウトなどをもっと目立つようにしなくてはならないということです。従来の書籍では、購入前の書評、立ち読み、表紙カバーなどで、内容がかなり理解できます。それに対して、電子書籍の場合は第一印象が購入のドライブになります。できるだけ目立つように、表紙のレイアウトやデザインにもっと気を使わなくてはなりません。でも濃い化粧やミニスカートで人目を引いたところで、中身が変わらなければ無駄のような気もしますが。


三番目は、ジャンク出版物が多いことです。品がないとか、公序良俗に触れるというのではありません。目立つことを狙って、同じ題名を少し変えたり、著者名を変えたりした本が10冊、20冊と書棚に並ぶのです。おかげで、まともな本はジャンク本に埋没してしまいます。出版費用がかからないというのは、こういうモラルハザードを引き起こします。やはり出版社を選ぶか増やすか、ほかに方法がないようです。


四番目は、電子出版物のステータスです。本を出版したといっても、有形物はありません。誰でも簡単にできて形がないと、達成感が希薄になります。形として認識されるコンパクトで、おしゃれな専用端末が欲しいと思います。


五番目は、電子書籍は金にならないことです。電子書籍は著者の取り分が増えるため、従来の出版物と同じだけ売れれば、著者の収入は多くなります。でも、そうは売れません。従来の出版物では、家族・友達、あるいは会社の教材などで数冊数十冊と買ってくれる人がいましたが、電子書籍の場合コピーして配るようになります。それに形がないので、プレゼントにもなりません。


六番目は、ホームページとの違いです。出版社が増え、金が掛からないとなると、ホームページとの差は、販売だけになってしまいます。私もすでに、幾つかのホームページで作品を公開しています。電子書籍は、形がないので出版したといっても、ホームページに作品と載せたのと変わりません。電子書籍は「売れてなんぼ」で、売れる作品を創ることによって、電子書籍出版の意義が生まれてきます。


「販売促進には原稿書きと同じくらい手間暇掛けろ」と、「もう少し環境の整備をして欲しい」が結論になります。そして提案ですが・・・。


安価な専用端末の普及
アメリカでは、アマゾンが専用機のキンドル、アップルが汎用機のIPADを売りだし、すでに電子書籍リーダーとして普及期に入っています。日本ではこれからですが、漫画用として、スマートフォンなどの携帯端末が使われています。


私としては、キンドルのような専用端末を1万円程度で販売して欲しいと思います。コスト差は、本の売り上げでカバーできます。そのためには、出版社の取り分を50%程度にして、その取り分からコスト差を埋めます。


専用端末を、国の補助金で児童に無償で配布し、教科書、辞書、百科辞典、教材などの閲覧に使えるようにすれば普及はさらに早まります。電子書籍に慣れ親しんでもらうと同時に、著作権の保護や、コピー防止、有害情報排除などの機能を持たせるようにします。


電子書籍図書館の設立 
日本には、図書を収集し国会議員の職務遂行のための国会図書館があります。これとは別に、出版社から独立した電子書籍のための図書館を作ることを提案します。これには出版社、個人から登録要請のあった書籍を審査し受け入れ、陳列書籍の登録制度を作ります。


電子書籍図書館の設立と維持費は、登録料として著者から5万円くらいを徴収します。登録料には異論もあるかもしれませんが、ジャンク出版、自炊コピー作品の防止、作品内容の維持向上、読者も安心して購入できるというメリットがあります。


図書館としては、電子書籍の普及発展のためのPR,書評などの役割を持たせて、電子書籍のステータス向上を図ります。


電子書籍環境の整備 
新聞社、出版社、本屋さん、批評家、図書館といった既存の出版文化を支えている人たちと共同して、電子書籍文化協会のような組織を作ります。既存の印刷文化は、これからの電子書籍文化の変化におびえて、ある種の抵抗勢力になっています。電子化の流れのなかで、どのように電子書籍と共存を図って行くのか、知恵を出し合って欲しいのですが。


総合的な共存プランを策定するなかで、インフラの整備が進んでゆけばこれに越したことはありません。環境整備に対する国への働きかけも必要になります。


インフラ待ちか、ビジネス進出か

日本ではブームがくるといわれながらも、その動きは緩慢です。端末もソフトもすべてできあがっているにもかかわらず、企業も人も相手の動きを見守っているだけです。

 

プラットフォームの整備が先なのか、既存の体勢を改革する企業の出現を待っているのか、時間だけが流れます。ビジネスモデルはすでにアメリカで完成しています。日本にもいずれは上陸するでしょう。とりあえずは、漫画による電子書籍端末の普及を見守りながら、今後の展開を待っています。

 

長い間ご覧いただき、ありがとうございました。せっかく出版にこぎつけたわけですから、問題点の改善と、よりよい出版物への努力は続けるつもりです。
ご参考までに、出版した書籍のサイトは下の通りです。
http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/195270

 

相場の方は底値探りの一進一退といったところですね。私の相場観は6月3日のこの欄で発表しております。皆様方ご幸運を祈っています。

 

 


 

3件のコメントがあります
1~3件 / 全3件
jojuさん
問題は、ギリシャで終わらないと思います。

 問題解決には、金融緩和(ドイツのインフレ許容)か、デフォルト受け入れ(ユーロ共同債も大きく見ればその一種)か、欧州域外へのつけ回しか、、しか方策がないからです。

 ギリシャがいなくなろうが、この状況は変わらず、また、ギリシャがいなくなるということは強制デフォルト受け入れを意味します、ドイツにとっては。

 

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 出版社9割、著者1割にしますね、私ならば。

 当方側のトータル利益はこちらのほうが膨らむでしょうから。

 なおかつ、出版社の関与が膨らむように、逃げられないように、運命共同体になるように役割分担の交渉をします。

 

 ま、こちらに売れそうなネタがなければ意味無しですが、、、。

yuhsanさん

jojuさん

 

おはようございます。

コメントありがとうございます。

出版取り分については、アメリカでのアマゾンは出版社が3割、著者が7割です。その代わり、端末の価格は200ドル程度だと聞いています。

日本では、1万円をきるようにして欲しいと思っています。

今日のjojuさん の日記拝見しましたが、ドイツのギリシャ嫌いは根深く、ドイツからの譲歩を引き出すより、ギリシャの脱落の方がすっきりします。

市場では、そうなると大変のようなこといっていますが、私は対策が出しやすくなるのでそうはならないと思います。ドイツはスペインの援助なら応じると思います。

国民感情が絡んでいますので、ヨーロッパがまとまるのは大変です。

株のほうは、底値を離れたと見ていますが、長期的にあがってゆくかどうかは、正直分かりません。しばらくは静観します。

jojuさん

 出版社の取り分をもっと増やして販促意欲を高めさせることが必要かもです。

 株式市場は底値探りなのか、これからも何度も底値を探しに行くのか微妙なとこですね。

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