非常食トップの尾西食品、9月にも大幅増産 企業など需要急増

AAI Fundさん
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災害時の非常食で国内トップシェアの尾西食品(東京都港区)は、「アルファ米」と呼ばれる非常食各種を9月にも大幅に増産する。東日本大震災後は、企業や自治体などの需要が急増し、納品が間に合わない状況を改善させる。

 宮城県大崎市にある生産工場の生産能力を現在の月間120万食から、20万~30万食分引き上げる方向で準備を進めている。

 東日本大震災後、同社は政府の要請で東北3県のほか、原発事故の支援にフル生産で保存食を提供。今年4月には、東京都が企業に従業員が食べる3日間の非常食の備蓄を義務付ける条例が施行されるなど、自治体や一般企業の非常食への意識が高まっており、需要が急増していた。

 アルファ米の「アルファ」とは、米に含まれるデンプンの状態のこと。炊いたご飯が、お米のデンプンがアルファ化されている状態だが、すぐに固まって食べられなくなる。

 戦前、煮炊きする火を使うことができない潜水艦で食べられるご飯として、同社創業者が開発したアルファ米は、炊いたご飯を乾燥させてアルファ化の状態を保つことで、長期間の保存を可能にした。水を加えるだけで、いつでも柔らかいご飯に戻すことができる。

 非常食は長く乾パンがほとんどだったが、阪神・淡路大震災を経て、徐々にアルファ米が市場を開拓。アルファ米の製造特許はすでに切れており、類似製品もあるが、現在では同社の市場シェアが非常食全体の6割強を占めている。
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