6月に入って、今年も半分に差し掛かっています。株価は年初からジリ高で、3月末までに10,255円の高値を付けたのですが、その後の下げで「行って来い」になってしまいました。あの上げもこの下げも、想定外の人は多かったのでは。それでは、私はどうでしょうか。
昨年の大晦日に、この欄で今年の株価見通しを出しています。それによると・・・
「1~4月までは、方向感が出ませんがジリ高で、9,000円前後まで戻しますが、その後は政局しだいで、
① 年末までに10,000円を超えるまで上昇するか、
② 8,500円近辺まで下落するか、
を想定します。」としています。
後は例によって、ごたごたとその理由を記していますが、抜粋しますと「政治が経済に与える影響は絶大です。民主党の政策は競争を排除し、低所得層への富の配分を基本にしています。そのため、デフレの克服と経済成長は後回しにされてしまいます。野田内閣になって、TPP、消費税の引き上げと社会保障一体改革、コンクリから人への政策転換など、デフレの克服と経済成長に繋がるものに手を付け始めました。ただ、選挙で言っていたことと相容れないものばかりです。」
「このまま、ばら撒きを続けてゆけば、増え続けてゆく社会保障費を賄いきれないのは、誰が見ても明白です。税の引き上げが、景気に水を差すといって先送りしていたのでは、借金が増えるばかりで増税の幅が大きくなるだけです。やるなら早くやり、その際にはばら撒きではなく、公共事業を増やせば景気を冷やさずにすみます。」と。
そして今年の株価見通しとして、
「私は、株価見通しに前提条件をつけるのは好きではありませんが、経済に最も影響力のある政治がどちらに動くかが不明では、先行きは読めません。6月ころまでに選挙は行われると見ていますが、選挙で、デフレの克服と経済発展が図れ、政治に信頼性が回復すれば、①のコースとなって、年末までに10,000円を超えるまで上昇するでしょう。一方民主党が4年間の任期満了まで続けるようであれば、②のコースで4月高値からジリ貧となり、8,500円近辺まで下落することになります。」となります。
さて株価のほうを見ると、ギリシャ、スペイン問題、アメリカ景気の不透明な回復、中国経済の想定外の落ち込み、円高基調の定着・・・、どれをとっても株価を押し下げる要因ばかりが報道されます。
一方で株価と経済の状況を見れば、現在の株価の割安は際立っています。つまり現在の株価は、ファンダメンタル面から見れば考えられないほど割安です。PERは10倍台まで下落していますし、債権と配当との利回り格差(スプレッド)は、私が株を始めて以来の開きになっています。しかも日本経済は上向きです。
気持だけが落ち込んでいるのです。「きっかけ」があれば、反騰すると見る人は多いのです。ではなにが「きっかけ」になるのでしょうか。
ギリシャの選挙をあげる人は多いようです。確かの今回の下げが、ギリシャとEUが震源地ですから、ギリシャがEUに留まることがはっきりすれば、株価反転のきっかけにはなると思います。仮に、ギリシャがEUから脱落するようになっても、EU諸国の政策転換の口実になりますから、一時的な混乱はあってもしばらくの間落ち着くでしょう。どちらに転んでも、不確定要素がなくなる分、株価の反転は期待できそうです。
とはいっても、日本の株価はこれで底を打つのでしょうか。今回の下げが外国人売りにあることは明確ですが、それではなぜ日本の株価がこんなに下げるのでしょうか。ギリシャに一番遠い国の株価が、近い国の株価より下げるのはなぜでしょう。
外国人売りの要因は、日本の経済力を売っているのではなく、欧米金融機関のリスク回避の一環ではないかと見ています。「ボルカールール」によって、銀行からの資金がヘッジファンドに回らなくなり、今年は例年以上にヘッジファンドの解約が増えたと想像しています。
となると、外国人買いは継続せず、日本の株価の低迷は、ギリシャ問題では解決しません。私は、株価低迷の原因は、日本人、特に日本の富裕層が、株を買わないからだと思っています。「なぜ買わないか」、答えは上がらないからです。今の政治体制では、経済が衰退し株を買う気になれないからです。
私は、株価反転のきっかけは選挙だと思っています。選挙で政治体制が変わることが明確になれば、選挙の実施日はいつでもかまわないのです。選挙があれば、それは今の政治体制が変わることを意味します。どこの政党が勝つ負けるではなく、競争を促進し企業や若い人たちに所得を配分するような政策に変わればいいのです。
半年経過した後の株価の見通しとして、「①のコース、年末までに10,000円を超えるまで上昇するでしょう。」としています。見通しがもう少し明確になるのは、そんなに遠くはないような気がします。もう少し待ちましょう。