新しい電力供給の仕組みとして導入された、電気自車「リーフ」と電力制御装置=神奈川県横須賀市で

神奈川県横須賀市は二十九日、電気自動車(EV)の駆動用バッテリーから電力供給するシステムの実験を、同市夏島町の追浜行政センターで始めた。EVを「大きな蓄電池」として使い、災害時の非常用電源にしたり、電力使用のピークをずらしたりする狙い。国内の原発が全て停止した中、電力供給の新しい形の一つとして、利用方法や課題を探る。
市企業誘致・工業振興課の担当者は「全国で初めての試み。公共施設でEVをどう利用するかの検討もして、実験の結果を広く伝えたい」と意気込んでいる。
追浜行政センターには電力制御装置(PCS)を設置し、日産自動車のEV「リーフ」一台を配備。市によると、フル充電した状態のリーフは、一般家庭二日分の電力を賄うことができるという。
実験は二段階。まず行政センターの休館日を使い、夜間充電しておいたEVで電力を賄い、停電時や災害時の利用方法を確認する。
次に、夜間充電済みのEVを、電力使用のピーク時に供給源にして電力不足を防ぐ「ピークシフト」の実験をする。夏場での使用を見越し、七~九月の午後一~三時に実施。三カ月で数回、一回につき一週間行う。
市は本年度中に市内七カ所の行政センターでこの仕組みを導入する予定。
2012年5月30日 12時01分