イタリアの自動車大手、フィアットとオープンカーの開発、生産で新たに協力関係を結ぶマツダ。米フォード・モーターとの提携が弱まる中、分野ごとに提携を広げる戦略に基づき、イタリアの老舗とスポーツカーをてこ入れする。部品メーカーからは、国内工場の稼働向上を期待する声が聞かれた。
山内孝社長は23日、「技術・商品開発のアライアンス(提携)は経営戦略に基づく活動の一つ。フィアットとの発表はその重要な一歩」とコメントした。
4年連続で最終赤字となったマツダは、経営の安定に向けて他社との提携を推進している。分野ごとに必要に応じて緩やかに連携する方針で、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(東京)の持丸強志シニアアナリストは「現段階では、フィアットと資本提携に発展する可能性は低い」とみる。
環境分野では、ハイブリッド車(HV)の技術供与をトヨタ自動車から受ける。海外生産では、ロシアでの合弁生産の準備も進めている。一方、マツダの特徴であるスポーツカーは販売台数が少なく、ロータリーエンジン車の生産を6月にやめるなど厳しい環境にある。
現行ロードスターは走行性能への評価は高いが、発売から7年近く過ぎ昨年度の生産台数は約1万4千台。UBS証券(東京)の吉田達生シニアアナリストは「経営状況を考えると、今の販売台数をベースに新型開発の採算を取るのは難しかった」と指摘する。提携で「生産台数を上乗せできる」と説明する。
地場のある部品メーカー幹部は「広島でアルファロメオを造ることになれば、生産台数が増える」と歓迎する。ただ別の部品メーカー幹部は「協業が深まれば、海外の部品メーカーとの競争が激化するかもしれない」との懸念も示した。
