福島第一原発事故の影響で厳しい経営状況に陥っている東京電力が、建て直し計画をまとめました。家庭用の電気料金を10%値上げすることや、3兆円以上のリストラ策が柱ですが、その実現性には、早くも疑問の声が上がっています。
寅さんの街、東京・柴又にある甘味店。あんみつの調理や店の営業には日々、電気が欠かせません。ひと月の電気代は5万円程度ですが、どうやら負担が増えそうな雲行きです。
東京電力などがまとめた経営の再建計画。経費の3兆円カットや、家庭用の電気料金の10%値上げなどが盛り込まれています。電気料金が10%値上げされれば、この店にとっては大きな痛手になります。
「10%は半端じゃない数字。本当に弱小な店舗なので・・・」(店主)
実は、この再建計画には高いハードルが待ち受けています。来年度中に新潟県・柏崎刈羽原発を再稼働させることが大前提になっているのです。しかし、地元の理解など再稼働への道筋は全く立っていないのが実情です。
「再稼働など見通せない条件が多すぎる計画。1つでも前提条件が狂えば全てが狂う。1年程度で見直さなくてはいけないのでは?」(機構関係者)
「(再稼働と値上げを)やり遂げないといけないと思っている。ハードルが高いのは重々理解している」(東電 西沢俊夫 社長)
「厳しい状況の中で厳しい役割を引き受けてくれたということでは。政府としては(下河辺 新会長を)しっかり支えていく。(ただ)電力料金と再稼働問題は、それとは別次元でチェックしていく」(枝野幸男 経産相)
一方、政府内からは再稼働が遅れれば国民負担がさらに増えるとの声も上がります。
「再稼働もダメ、値上げもダメ 。そうなったときの国民負担は大変なもの」(安住 淳 財務相)
経済産業省は連休明けにも、この再建計画を認定する見通しで、東電には総額1兆円の公的資金が投入されます。
「皆さまの信頼を取り戻すためには、改めて東電が第2の創業をする必要がある」(東電新会長に内定しいる下河辺和彦氏)
ところで、その政府。今月1日以降に契約の更新を迎える役所で平均17%の値上げに応じたところが1つも無かったという事実が、27日朝、閣議決定された答弁書で明らかになりました。
自らの身は切ることなく、実現性の曖昧な再建計画をもとにした料金値上げだけが、先行しようとしています。(27日17:15)
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