【写真説明】上の三つが今回発見された化石。現存のテングコウモリの骨(下)より1ミリほど大きい
山口大は19日、美祢市秋芳町の秋吉台にある鍾乳洞で、新種のコウモリの化石を発見したと発表した。10万年以上前に生息し、絶滅した大型種とみられ、現存するテングコウモリの仲間の可能性が高いという。今後学会で発表し、渡来の経緯などを調べる。
秋吉台科学博物館や山口大のサークル洞穴研究会などでつくる学術調査団(松村澄子団長)が2007~11年に調査した「無名穴(むみょうあな)」で発見した。無名穴は秋芳ロイヤルホテル秋芳館南に位置する洞窟で全長約800メートル、落差は約100メートルある。
山口大で会見した松村団長らによると、入り口から12メートル下のテラスで、地中約70センチの粘土状の土壌から見つかった。全身が分かる化石はなかったが、頭蓋骨や歯、腕の骨など約100匹分があった。うち約90匹は骨の形状から現存するテングコウモリの仲間とみられるが、松村団長たちは、骨格が一回り大きいため、新種の可能性が高いとみている。
コウモリは骨が弱く、化石として見つかるのは貴重という。松村団長は近く学会で論文を発表する予定で、「秋吉台のコウモリの歴史で貴重な発見。いつ、どこから渡来したのか明らかにしたい」と話している。