樹齢約160年に達した山口市小郡下郷の市指定天然記念物オゴオリザクラを後世に残そうと、住民有志が7年ぶりに再開した接ぎ木に取り組んでいる。今春、急逝した世話役の遺志を継ぎ、まちづくりの仲間たちが苗木の成長を祈っている。
原木は小郡下郷の柳井田地区に、高さ約10メートルの1本だけ残る。八重咲きのヤマザクラの一種で、他の八重咲きサクラと違ってめしべがあり、少ないながら実をつけるのが特徴。突然変異が原因といわれ花弁は約15枚、おしべは約50本ある。
接ぎ木は、枝ぶりや花付きが悪くなった老木からとった苗木を他の場所に移植。旧小郡町が1989年から2005年まで約270本を育て、約40カ所に植えた。05年に山口市と合併した後は予算がつかず、途絶えた。
昨年8月、旧町時代の接ぎ木が成長した小郡総合支所前の3本に記念石碑を建てたのをきっかけに、住民の間で再開の機運が高揚。まちづくりに取り組むおごおり地域づくり協議会を中心に、昨年11月から準備を始めた。
旧町時代に接ぎ木の世話をしていた元県農林事務所職員の磯川大吉さんが指導を担当。磯川さんはことし3月に82歳で突然病死したが、仲間が世話を続け休耕田に約130本を植えた。
【写真説明】地元住民が休耕田に植えたオゴオリザクラの接ぎ木

