欧州問題の本質は、金融政策と財政政策の不整合。
金融政策は統合通貨ユーロで統一されているのに、財政政策は統一されていないのが問題の本質。
根本的な解決策は、財政政策の統合強化か、財政統合困難な国のユーロ離脱。
前者は、例えばユーロ共同債の発行だが、これは、ドイツからPIIGSに恒常的な財政支援を行うことと同義である。
ドイツが統合通貨ユーロで、通貨安の旨味を恒常的に受けていることからすれば、至極、真っ当な方策だが、ドイツ国民にそういう認識が全くない以上、導入へのハードルは高い。
一方、後者は、例えばギリシャのユーロ離脱だが、これはコントロールされないデフォルトを意味するので、大きな混乱を生む可能性大。 ギリシャに続く国の離脱も市場に予感させるからである。
ゆえに、ドイツはこの路線も現状望んでいない。
上記の根本的解決策が政治的に困難な以上、残された道は、付け焼き刃的な財政支援とそのための基金創設である。
これが現在の路線だが、この路線は政治的ハードルが低い反面、不安定。
財政政策が統合されていないため、将来的な債務危機発生を抑えられないので、『持続的に』不安定に成らざるを得ないのです。
なぜなら、通貨統合(≒金融政策統合)でPIIGS諸国には、概ね常時、引き締め気味の金融政策、高めの為替レートとなり、デフレ圧力がかかるので、財政政策で景気浮揚を図る必要があるのですが、そのための資金の多くは(財政統合されてないゆえ)国債依存にならざるを得ないからです。
加えて、ユーロ圏の金融政策がドイツ中心で決まっていること(PIIGSには更に強いデフレ圧力がかかる)、PIIGS諸国に不況下の緊縮財政・構造改革を強要していることから、一層、不安定性が助長されている。
今回景気回復局面での最大リスクはユーロ問題です。
(補足)日本(民主党政権)は、ユーロ圏への財政支援に世界でも最も前向きだが、今の不安定なシステムが変わらぬ以上、ユーロ圏の財政支援も永続的に続く可能性がある。 ユーロ圏に対し大幅貿易黒字になっていない日本が、ユーロ圏への貢納金的な財政支援を続ける意味はあるのだろうか?