シルクロードを描き、高い人気を誇った日本画家の平山郁夫さん(1930~2009年)の妻子による合作絵本『いちりんの花』(講談社)が出版された。
大地に再び花が開くという震災からの再生を暗示させる物語。
「私が死んだら、また絵を描いてほしい」
という平山画伯の遺言は一冊の本となって花開いた。(渋沢和彦)
絵本『いちりんの花』は、文章を詩人でもある長女の平山弥生さん(53)が書き、絵は母の美知子さん(86)が担当した。
物語は古事記や聖書をもとに展開していく。
天も地もわかれていない地球から、やがて人間が誕生し、大地には花が咲いた。
しかし、平和な日々は続かない。
人々の争いで土地は破壊され、人が死に、花は焼き尽くされてしまう。
大地を照らす「お日さま」によって再び一輪の花が生まれる。根底には、苦難をものともせず再生する花への温かい視線、常に争う人間の愚かさへの批判がある。
その物語に深みを与えているのが、美知子さんの版画だ。
大地を埋め尽くす無数の花と太陽の暖かさ、原爆のキノコ雲の怖さ、そしてインドなど異国の街や人物の生き生きとした描写。
あるものは細密に、あるものは大胆に単純化される。
昨年3月、弥生さんから依頼を受けてからは、1日1枚のペースで10点ほど制作。その間もウズベキスタンなど2度の海外旅行も行っている。
その際のスケッチが生かされた。
美知子さんは、東京美術学校(現・東京芸大)の日本画科で学んだ画家。
首席で卒業し、同級生だった平山さんは次席だった。
卒業した昭和27年の院展には美知子さんが入選し、平山さんは落選。将来を嘱望されていたが、結婚してからは裏方として夫を支えた。
平山さんは43年にアフガニスタンや中央アジアを訪れ、シルクロードを初めて取材。
以後、現地への取材旅行は150回を超え、美知子さんは、その多くに同行した。
平山さんは死後、妻が再び絵を描くことを望んでいた。
美知子さんが版画に取り組むのは30年ぶりだというが、画伯の遺志を娘さんとともに実現した。
「こんな形で絵に関われて、亡き夫も喜んでいるのでは。私にしてはへたでした。昔ならもっとうまかったのですが」
と笑う。
「絵の仕事があると人生が明るくなります」
絵本には、大学時代に制作した版画「母子(ぼし)」も収められている。
赤ん坊を抱いた母親の幸せそうな表情を描く慈愛に満ちた構図だ。
弥生さんによると、絵本を書き上げたのは昨年、東日本大震災の前日の3月10日。その日の夕方にファクスで出版社に送った。締め切りは、3月11日だった。
弥生さんは、「一輪の花からすべてが始まるというイメージ」と語る。確かに東日本大震災の被災地では、津波で全てが流されても、やがて草花がたくましく咲いた。「3・11前」の作品なのに、震災を連想してしまう。
美知子さんと弥生さんは、被災地の福島県南相馬市の市役所、図書館、婦人会などに、この絵本を600冊贈った。
弥生さんは「絵本で被災者を元気づけられればいいのですが」と話している。
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