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東電の全原発停止、料金値上げに波及も

 東京電力の管内で唯一稼働していた新潟の柏崎刈羽原発6号機が定期点検のため停止しました。東電は火力発電を増強して対応しますが、燃料となる重油や天然ガスの価格高騰が東電の経営を圧迫していて、電気料金の値上げに波及する可能性も出ています。

 東電・柏崎刈羽原発の心臓部、中央制御室。午前0時前、6号機の発電量を示す表示がゼロに。これで東電は17基の原発全てが停止、震災前と比べて発電量のおよそ3割を失いました。柏崎刈羽の停止によって、全国54基の原発のうち、稼働は北海道電力・泊原発3号機、1基のみとなります。

 電力各社は、原発の代わりに火力発電の増強を進めますが、燃料の重油は高騰が続き、経営を圧迫しています。核兵器開発問題に絡み、イランが原油の通り道となっているホルムズ海峡の封鎖を検討していることや、世界的な金融緩和で資金が原油の先物取引にも流れていることなどが主な要因です。原油価格の高騰は一般の消費者にも波及しています。

 「(負担が)すごく大きく感じる。だいたい1回で1万円」(ドライバー)
 「高いガソリンを入れてもらうので、サービスを良くし、気持ちよく給油してもらうことを心がけるしかない」(シンエネ八幡山SS  木村文彦さん)

 そして、石油の他にも値上がりしているものが・・・。LNG=液化天然ガスです。

 「こちらはLNG地下タンクの工事現場です。直径72メートル、深さ62メートルと世界で最も大きな地下タンクとなります」(記者)

 東京ガスが建設しているのは、世界最大の液化天然ガスの貯蔵タンク。都市ガスに換算して、一般家庭36万世帯が年間で使用する量に相当します。

 「(LNGの)需要増に対応するべく、世界最大のタンクを造ろうと決定。原子力発電所の事故で首都圏の電力需給がひっ迫している事態を強く認識している」(東京ガス・扇島プロジェクトグループ 堤洋一マネジャー)

 原油価格の値上がりに伴って、液化天然ガスの価格も上昇。原発事故の後は輸入量も増えていて、都市ガス大手は4月のガス料金の値上げを決めました。

 東京都内の銭湯。度重なる原油高騰に悩まされてきた銭湯業界では、湯沸かしをガスに切り替えた店も多いのです。

 「ガス料金が値上がりするという予告があるので、経営を圧迫することは否めない」(小杉湯 平松茂さん)

 火力発電のコスト増加や賠償費用を抱える東電は、企業向け電気料金の値上げに加え、家庭向け電気料金も7月から10%程度上げたい考えですが、これらの数字の前提となっているのは「原発の再稼働」。

 全国では、関西電力の大飯原発や四国電力の伊方原発が再稼働に向けた準備を進めていますが、多くの原発は再稼働のめどが立っていません。原発の停止が長引けば、夏の電力不足がより深刻になるだけでなく、電気料金の値上げがさらに上積みされる可能性もあります。(26日16:22)

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