米国のケーブルテレビ業界の今年最大のドラマは、一部大手テレビ局の視聴率が大幅ダウンしていることだ。
視聴率の高いケーブルテレビ上位15チャンネルのうち11チャンネルのあらゆる時間帯の平均視聴率は、前年比で低下に見舞われた。
調査会社ニールセンが3月18日までのデータとして明らかにしたところによると、バイアコムのニカロデアンや、タイム・ワーナーのTNT、ニューズ・コープのFXなどが2ケタ台の落ち込みとなった。
AMCのテレドラマ「マッドメン」
テレビ全体の視聴者も減少はしているが、減少率は小幅にとどまっている。
昨年9月以降の全時間帯のテレビの平均視聴者数は、前年比で2.7%の減少で、プライムタイムは0.6%の減少にとどまった。
このデータでは、視聴者がテレビ離れしインターネットに向かっている可能性はあるものの、視聴率にははっきりとは表れていないことを示している。
むしろ、視聴者は単にチャンネルを替えているだけのようだ。
一部のテレビ局ではプライムタイムを中心に視聴率が大幅上昇している。
今年第1四半期のプライムタイムの視聴者数を見ると、ウォルトディズニーのヒストリー・チャンネルは実話物シリーズの「ポーン・スターズ」などの番組で前年同期比21%増加した。
タイム・ワーナーのTBSは、主としてホームコメディー「ビッグ・バン・セオリー」の再放送が好調なのを受けて3分の1増加した。
ウェブやケーブルテレビのオンデマンド・サービスの普及で、ケーブル・チャンネルの大黒柱だった特集番組の再放送などに対する人気が低下する恐れがある。
またデジタル・ビデオ・レコーダーの活用により、視聴者は人気番組だけを見てその他の番組は無視することが簡単になりそうだ。
日曜夜放映が開始されたAMCの「マッドメン」などのようにカネを掛けた新作番組は人気が出ている。
こうしたことから、ケーブルテレビは好不調の波が大きくなる可能性がある。例えばニールセンによれば、FXは2011年9月終盤から同年末までの間の18~49歳のプライムタイム視聴者数は、オートバイに乗るギャングのドラマ「サンズ・オブ・アナーキー」のヒットで、年率で30%近く増加した。
しかし今年に入ってこれまでのところでは17%の減少に見舞われている。
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