事件発覚以来、沈黙を貫いてきた「大王製紙」の前会長の初公判が東京地裁で開かれました。子会社からおよそ55億円を借り入れ、カジノなどに使っていたとして特別背任の罪に問われた前会長は起訴内容を認め、「心からお詫び申し上げます」と謝罪しました。
グレーのスーツ、紺のネクタイ姿で裁判所に姿を現した「大王製紙」の前会長・井川意高被告(47)。事件発覚以来、公の場では沈黙を貫いてきた井川被告が1日、法廷で初めて口を開きました。
「起訴状に書かれた事実について、どう思いますか?」(裁判長)
「間違いございません」(井川意高 被告)
井川被告はカジノでつくった借金を返済するため、子会社7社から取締役会の承認も得ないまま、あわせて55億3000万円を振り込ませ、会社に損害を与えたとして特別背任の罪に問われています。
法廷に入った井川被告は、裁判官、検察官、そして傍聴席に向かい、それぞれ深々と頭を下げ、証言台の前に立ちました。
「私の行いで多大なるご迷惑をおかけしました。株主さま、従業員、関係者の皆さまに心からお詫び申し上げます」(井川意高 被告)
井川被告は起訴内容を認め、謝罪しました。続いて行われた冒頭陳述で、検察側は「借金の返済のために、さらに高額なギャンブルを繰り返して負債を膨らませた」と指摘、さらに「自ら子会社の役員に振り込みを指示したうえで、他言しないように念押しした」と、井川被告が口止め工作を行っていたことも明らかにしました。
一方、弁護側は事実関係は認めながらも「井川家が怖いから、という理由だけで大金を貸したのはおかしい」として、「貸した子会社側にも問題はあった」と主張。今後、井川被告本人が事件をどう説明をするか注目されます。(01日17:00)