2月に入って相場の流れが変わったようです。年初8,550円で始まった日本株は、先週末までに1,000円上昇しましたが、正直ここまでの上昇を見通した人はいなかったと思います。上昇の原因は、2月14日の日銀によるインフレ目標の設定と金融緩和によるものといわれています。
仮に、日銀が本気でインフレ目標に取り組んだとすると、20年間続いたデフレの終焉を意味することになります。そうなると、日経平均も2月14日の9,000円を折り返し点として、20年間掛けて20,000円前後まで上昇する長期波動を描くこともできます。
これだけのビッグニュースでしたが、この決定を予想したメディアもなく、発表直後の市場での反応も、為替が反応し10分ほど遅れたところで株式市場の上昇が起こりました。これまでに、年初から600円近くも上げた状態でしたから、発表がなければ利確に押されても、もみ合い状態に入るところでした。
日本人はこの発表をサプライズと受け止めましたが、外国人はある程度この情報を待っていたようにも見えます。外国人の年初からの大量買いも、ヘッジファンドの買戻しによるものとしていましたが、どうやら違ったようです。日銀の決定を読みきれなかったマスコミの中には、日銀の白川総裁と民主党の野田首相が周到にお膳立てをして、それに外資系の証券会社が乗ったとする見方が出てきてもおかしくありません。
これで、人気のない日銀、野田内閣は一息つき、外資は大もうけ、損をしたのは国内金融機関と売り方に回った個人ということになります。日銀にとっては、これまでに購入してきた8,500億円に登るETFの含み損が含み益に変わり万々歳。一方野田内閣にとっては、財政建て直しに市場からの一層の圧力がかかることになり、背水の陣を引いたことになります。
いずれにしろ相場は、想定通り動き始めました。
この発表を素直に受け止めた外国人に対して、日本勢では個人も金融法人も売りにまわったようです。無理もありません。日本株が世界の市場から大きく取り残されていることは分かっていても、今期の主力株の大幅な減益決算と、相変わらず続いている持ち合い解消売りなどから、ファンダメンタルから見ても到底買う気になれなかったのです。
景気のよいアメリカも景気の悪いヨーロッパも、すべての国で金がばら撒かれ、その資金が割安に見える株式市場に流れ込んだというのが実情です。何時の時代でも、株式相場の底値期から上昇期に向かう段階では、不景気の株高がまず見られ、そのあとを追うように経済指標が上向いてきます。
日本も 10,000円までは、過剰流動性による不景気の株高で説明できそうです。相場は、底値期、上昇期、天井期、下降期で構成されますが、現在は上昇期の1~2合目付近に当たります。今回の相場の全体像は、景気の上昇を確認しながら上下波動を繰り返し、2年ほど掛けて12,000を目指すと考えています。
ここまでは、大きく売り込まれた銘柄を中心に、ほぼすべての業種の水準訂正がありましたが、ここからはいよいよ今回の相場のテーマ選びが始まります。相場のテーマ業種は、①復興関連、②社会インフラ、③資源関連の3業種と見ていますが・・・。
テーマ業種を中心にした持ち株の選定とポートフォリオの入れ替えをして、本格的な上昇に備えたいものです。これから始まる相場上昇期の2段目は、期間も長く上昇幅も大きくなります。いままでの長い深い谷間のことを忘れ、この機会を逃さないようにしましょう。