ルネサス・富士通など3社が半導体事業統合で協議、革新機構が新会社設立を検討=関係筋
12/02/08 13:11
[東京 8日 ロイター] ルネサスエレクトロニクス <6723.T> 、富士通 <6702.T> 、パナソニック <6752.T> の3社が、半導体のシステムLSI(大規模集積回路)事業を切り離し、産業革新機構が設立する新会社に統合する方向で協議に入ったことがわかった。複数の関係筋が8日、ロイターに明らかにした。3社の事業統合が実現すれば、システムLSIを手掛ける国内メーカーは新会社と東芝 <6502.T> の2陣営に集約されることになる。
関係筋によると、産業革新機構が半導体設計の専門会社を設立し、3社のシステムLSI事業を統合する方向で検討。さらに、産業革新機構は、米グローバル・ファウンドリーズ社と共同出資で半導体受託生産会社(ファウンドリー)を国内に設立することも協議しており、製造部門と設計・開発を分離し、それぞれ専門会社として運営する方向で調整を進めている。 日本の半導体メーカーは設計と生産を一体展開しているが、世界的には先端の回路設計と多額の設備が必要になる製造がそれぞれ専門会社化しているのが主流。3社の半導体再編においても、設計・開発に特化する「ファブレス化」のビジネスモデルに転換し、国際競争力を高めるねらい。
<半導体再編には複数案も>
ただ、関係筋の1人は「半導体再編はこの案を含めて複数あるのでまだ決定ではない」とも指摘しており、関係者間の協議は紆余曲折する可能性がある。産業革新機構が設立を検討するファウンドリーは、ルネサスの国内工場の一部を移管する案のほか、DRAMメーカーのエルピーダメモリ <6665.T> の広島工場を買い取ってシステムLSIの製造拠点に転用する案も浮上している。これに対してエルピーダは同日「当社から発表したものではなく事実と異なる報道」とのコメントを発表した。
4社はすでに財務アドバイザーを採用。ルネサスはゴールドマン・サックス証券、富士通はUBS、パナソニックはモルガン・スタンレー、産業革新機構はJPモルガン証券となっている。
米調査会社IHSアイサプライによると、世界の半導体メーカーの2011年の売上高シェア(速報・暫定値)は、米半導体大手インテル <INTC.O> が15.9%、韓国サムスン電子 が9.3%、米テキサス・インスツルメンツ <TXN.O> が4.5%、東芝 <6502.T> が4.3%、ルネサスエレクトロニクス <6723.T> が3.6%などとなっている。
2010年4月に発足したルネサスは12年3月期も最終赤字に陥ることが確実で、拠点再編など事業構造改革を急いでいる。また富士通が08年3月に分社化した「富士通セミコンダクター(横浜市)」は発足から3年目の11年3月期に黒字化したが、今期は再び赤字に陥る見通し。すでにパナソニックは半導体事業で、システムLSIを縮小して画像センサーの分野に特化する方針を示していた。3社の事業の統合が実現すると、システムLSIを手掛けるメーカーは東芝と新会社のみになり、半導体再編は最終段階に入る。
(ロイターニュース 村井令二 白木真紀 取材協力:江本恵美)