株で生活するには-その4 ファンドの評価法

yuhsanさん
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年代別の目標として掲げた1千万円とか5千万円は、そのときの持ち株の時価評価額です。私の場合には、リスク資産はすべてファンドに移し、ファンドは国内株式で運用し現金は持たない方針なので、株式の時価評価額がほぼファンドの持つ金融資産額と一致します。


ただ、ファンドの総額だけでは、その時点のファンドの規模は分かっても、資産にどれだけに資金を投じたかが分かりません。その資産がすべて銀行からの借り入れだとすると、いくら時価評価額が増えても借金が増えただけです。


そこでファンドに投入した資金と、ファンドから引き上げた資金のバランスが必要となります。ここではこれを、キャッシュ・フローとし、計算式は、「ファンドに投入した資金(自分の懐から出ていったお金)」-「ファンドから引き上げた資金(自分の懐に入ったお金)」となります。


これを生涯投資に当てはめてみると、40歳までの1千万円がすべて自己資金(たとえば、10年間毎年100万円づつ貯金して貯めたお金)の場合、40歳までの生涯キャッシュ・フローはプラス1千万円になります。1千万円の資金が100万円の投資だけで増えたものならば、この時点の生涯キャッシュ・フローはプラス100万円です。このまま、60歳までの資金がすべてファンド内で賄われたとすると、60歳時点の生涯キャッシュ・フローは、プラス100万円で変わりません。


実際には、ファンドの資金不足や、退職金、不動産売却などで大口の収入があったときなどには、個人マネーをファンドに投入し株式を購入します。また受け取った配当金は、原則運用資金としてファンドで使われますが、時には個人的に流用することもあるかもしれません。


そのため、ファンドと個人との間の資金のやり取りは毎年必ずあり、その都度生涯キャッシュ・フローが変化します。個人資産との完全分離を図るために、ファンンドを設立したといっても、もとは同じ懐のお金なので趣旨を踏み外さない限り、資金の出入りはやむをえません。


生涯キャッシュ・フローは、どの時点でも計算できます。生涯の取引記録をきちんとつけていれば誰でも簡単に計算できます。私は株を始めてからそろそろ40年になろうとしていますが、その間の売買記録はすべて保存してあります。2000年ころからは、PCの普及によりそれまでのワープロからエクセルに代わり管理項目も増えましたが、当初からその時点の評価額、その年度の配当金総額とキャッシュ・フロー、累積(生涯)キャッシュ・フローは必ずつけるようにしていました。


生涯キャッシュ・フローは、投入した資金がどれだけ増えたか、減ったかを計る物差しになります。先ほどの60歳の例を取り上げると、時価評価額5千万円に対して、生涯キャッシュ・フローは1千万円ですから、時価評価額/生涯キャッシュ・フローは、5倍になります。つまり投入した資金が5倍になっていることを表しています。


ファンドは、株式時価総額を増やすことが第一ですが、同時に生涯キャッシュ・フローが長い目で見て減少していることも大切で、この二面で評価して初めて長期投資のメリットが明らかになります。もしあなたの生涯キャッシュ・フローが、幸いにもマイナスだったら、もうあなたは何をやっても怖くありません。資金はすべて回収済み。あなたの持ち株の原価は、「ただ」のうえにお釣りさえ付いているのですから。


会社の決算でも、資本の状況を示す貸借対照表と、収益を表す損益計算表があるように、ファンドの評価も、資産の額だけではなく、その資産からの収益(配当金)の両面から評価する必要があります。その物差しが、株式の時価評価額、生涯キャッシュ・フロー、それにその年の配当金になります。


「ところで、お前のファンドはどうなんじゃ!それを見せんようじゃ、分からんじゃないか!」と、突然天からの声。
「・・・・・」
「どうなんじゃ。えぇ?」
「もう・・・どうだっていいでしょ。うまくいってれば、とっくに南の島で暮らしていますよ」

 

 

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