相場が底値圏に達したときには、ポートフォリオに含まれる持ち株を総点検し、必要に応じて銘柄の入れ替えをしなければなりません。その際に問題になるのが、次の相場のテーマになる業種です。現在の相場はすでに底値期を離れ上昇期に入っていると思われますので、今回の相場のテーマ業種は何かということになります。
相場には必ずテーマがあり、そのテーマに沿った業種のほうが大きく値上がりします。持ち株をすべてテーマ業種で固める必要はありませんが、3~5年ごとに循環している相場を捉えて、投資資金を増やしてゆく生涯投資法にとっては、その相場の主役を捕まえてそれに乗らないと、資金を大きく増やせません。平均ではだめなのです。
相場のテーマになる業種としては、もちろんその時代に求められているニーズが最も大切ですが、それ以外にも、次の点に留意することが必要です。
(1) 業績の向上が期待できること。
(2) 割安になっていて、業種平均でも安値から2倍程度の株価が期待できること。
(3) 過去5年以内に大相場がなく、上値にしこりがないこと。
以上の点を考慮して、私が独断と偏見で今回のテーマ業種を選定したのが、次にあげる3業種になります。
① 復興関連: 大震災の復興という社会的なニーズと、ここ2~3年にわたりコンクリから人にといった流れで、極端に株価が抑えられ、企業の合理化が進んでいます。土木、建設、機械、セメント、橋梁、住宅と関連業界も多岐に及んでいます。ただ、ボロ株と玉石混合です。周辺産業で、ファンダメンタルのよい企業が狙い目。
② 社会インフラ関連: 新興国需要が期待される中で、最も国際競争力があります。日本が地理上のメリットを生かし、これからの輸出を牽引する分野です。電力、配電、原子力、機械、鉄道車両、水開発、新エネルギーなどです。
③ 資源関連: 人口の増加と新興国の経済発展で、これからの世界は、資源獲得競争がいっそう激しくなります。軍事力の争いも起こるでしょうが、その前に権益の囲い込み競争で、日本の資源獲得の尖兵となっている商社の役割がさらに重要になります。エネルギー、鉱物資源、水、食料、とありとあらゆる資源が対象です。ただ、大型株が多く、テーマが前の相場から続いているため、安値からの上昇率という点では見劣りするかもしれません。
この業種の中から、相場の上昇期にまず先鋭的に買われる小型株が3~5倍になり、注目を引きます。つれて同じ業種の銘柄が、次々に買われ全体を引きあげます。この流れがさらに横に広がり、相場の上昇に弾みがつくようになります。
こうして相場は上昇期に向かい、やがて天井期にまで上り続けます。この間にあってもテーマ業種は登っては休み、休んでは登りの繰り返しで、他の業種より上昇率が高くなります。一つの相場の中で、テーマ業種からは安値の5~10倍になる銘柄が、必ずといっていいほど出現します。
相場の上昇期を迎えようとしている今、皆さんもこれからのテーマ株を選んでみてはいかがでしょうか。
それでは次回「株で生活するには-その3 ポートフォリオ、売り時」まで。