いい株をタイミングよく買えば、必ず儲かるはずです・・・が、その通りにはなかなかなりません。
第一に、いい株ってはっきりしません。上がらない株は、いい株とはいえないことは分かりますが、上がる株がすべていい株とは限りません。
株は上がれば下がるし、下がれば必ず上がります。どんな株でも、下がりすぎれば上がるものです。問題は、上がりそうだからといって、ボロ株に手を出すことです。
ボロ株は、何らかの理由(収益力が低い、借金が多い、将来性がないなど)から極端に安い値をつけているものが多く、値が低いため短期間に2倍3倍になるものもないとはいえません。これぞ株の醍醐味、変化の先取りといってしまえばそれまでですが、株で生活する投資法にはなじめません。
最近、指数はほとんど動かないのに、低位の小型株が、新しいテーマのもとで激しく上昇しています。以前だったら、短期の資金が向かったとか、手詰まり現象とかいわれ、あまり歓迎されませんでした。私はこの動きこそ、個別株を発掘する株式市場本来の姿と見ています。
これらのなかには、増益基調にありファンダメンタルに問題がないにもかかわらず、今まで指数取引の犠牲になって、極端に値を低く抑えられていた銘柄も多く含まれています。今回相場の柱になりそうな復興関連という業種ならば、ポートフォリオに組み込んでも高パフォーマンスがえられそうです。
問題は、便乗して値を上げているボロ株との境界が、紙一重ということです。私は、低位の材料株を仕込み、値が吹いたときに売却する待ち伏せ投資を否定するつもりもありません。むしろ、1千万円までの投資時期では、効率のよい投資として推奨していたくらいですが、生涯投資法としては、成長の持続性という見地から再検討し、慎重に銘柄を選定します。
ファンダメンタルに問題がなくても、株が値上がりしないか相対的に値上がりが遅い株は、いい株とはいえません。公益株や超大型株で、業態そのものに磐石の収益基盤を持つ企業は、暴落時に値下がりしない代わりに上昇期にもあまり上昇しません。こういった株も、ボロ株同様に手を染めるべきではありません。
あれもだめ、これもだめといって、指数取引に手を染めるのも問題があります。先物取引を含めた指数取引が、現物取引と拮抗するくらいに力をつけてくると、銘柄発掘の手間とリスク分散を考えて、つい指数取引に目が行きがちです。ETF、日経平均先物など、取引の小口化と手数料の安さなどから、個人の取引も増大しています。
指数はもともと多数の銘柄の総合した動きを数値化したもので、会社に投資し期待通りの発展と成果を分かちあう投資本来の目的に反しています。銘柄選別をしっかりして、企業の発展とともに株価が上昇し、さらに好業績の高利回り株に再投資して配当金で生活できる株を選ぶべきです。平均的な上昇では、億万長者への道は遠く長いものになるだけです。
それではどんな株を買えばいいのでしょうか。いい株は、PER,配当利回り、PBRといった、株価との関連で示される指数がよくて、増益基調にあることが絶対条件です。どんな場合でもこれらの条件を満たしていることが何よりも大切です。
ファンダメンタル面で問題のないことが前提ですが、いくつかの細かい評価基準を自分なりに設けて、銘柄を絞り込んでゆきます。評価基準の設定は、自分の投資法に合わせて決めなくはなりません。
私は業種を決め、その中で割安株を選ぶようにしています。割安株とは、比較することが基準になっています。ほかの株との比較から、ファンダメンタル面で安いとか、出遅れているとか、過去の値動きから安値水準だとか、いろいろな面で比較することです。いい株が割安株になったときに買うのが、最も効率のよい投資になります。
次に、いいタイミングとはどんなときなのでしょうか。
これはいい株を選ぶより難しいといえます。というのも、客観的な基準があいまいだからです。どんなにいい株でも、買い時を間違えると、値下がりして次の値上がりまでに大きく時間のロスが生じます。こんなときには損切りして、次の値上がりに備えておけばいいのでしょうが、いい株を簡単に損切りしてしまうようでは、上昇時に大きく値上がりを楽しむことはできません。
株価は、1日、1週間と変動します。個々の銘柄は、単独で動くこともないとはいえませんが、全体の変動に引きずられます。いくら最安値で買ったと思っても、1ヵ月後にはもっと安く買えるかもしれません。これを防ぐには、信用を用いたつなぎ売りや両建てなどがありますが、そんな小細工をしても結果はあまり変わりません。
むしろ相場の大勢観を養い、株価の位置がその大勢観の中でどの辺にあるかを、自分なりに把握しておくことです。大勢観というと難しいように思われますが、目先の相場は分からなくても、大きな動きは案外読めるものです。
私は相場が動くのは単純に循環だと思っています。あまり複雑に考えるよりも、上がったら下がり、下がったら上がると考えるのが、一番単純でしかも間違っていません。株も景気も資本主義経済のなかでは、循環するのは避けられません。大きな相場は上昇期が2~3年、下降に1年程度、大体4年ほどで1つの相場が終わります。相場の出発点からトップまで、株価は大体1.5~2倍くらいにはなります。したがって相場の大底を確認できれば、あと2~3年は上昇すると考えます。
もうひとつは、ファンダメンタルの変化です。相場が天井付近にあるときは、銘柄選択の基準に該当する銘柄が少なくなってきます。買いたい銘柄がなくなってきたときは、相場の天井と考えるのも、相場を見る判断材料になります。逆に今のように買いたい銘柄がぞろぞろあるときは、大底圏と考えます。
(今日はここまで、明日は具体的な買い時について)