福島原発被災地の大熊町の町長並びに町議会長が野田首相と面会し、
東京電力福島第一原発事故に関し、除染の工程表を早急に示すと共に、除染効果も明示することなどを求めた要望書
を手渡しました。
一向に示されない除染工程。
先のマンションの放射能汚染石入りコンクリート問題からも見受けられるように、この問題って結構深い問題だと思うんですよね。
ネットで見たんですが、今の除染の方法ってどうやら高圧水除染のようなのですが、その効果も疑問視されているようですね。
高圧水除染って調べてみたら、室内の除去には不向きのようですし、最高で50%除染できたら良いみたいな記事がありました。
11月の神戸新聞なんですが、その記事には神東塗料のことが書かれていました。
スリーマイル島の原発事故の際に、米原子力規制委員会(NRC)の要請で防錆・防食塗料の世界最大手の米カーボライン社が開発した除染塗料を、神東塗料は共同出資で作った子会社のジャパンカーボライン(東京)を通じて輸入販売している。
完全に政府の見通しの甘いまま、除染に関しても有効な手立てができていないのが現状でしょう。
大手のゼネコンや商社が絡んで、いわば効果よりも除染ビジネスの側面が強かったのではないかと思える現状。
高圧水洗浄に関しては、除染から外す自治体も出ているとの話も目にしました。
日刊ゲンダイの記事ではありますが、こんなのもあります。
総額40兆円 除染利権の独占を許すな!
http://gendai.net/articles/view/syakai/134508
原子力ムラが焼け太り
野田首相が8日に福島県を訪れる。年頭会見でも「除染をしっかりと実現することが福島再生につながる」と息巻いていたが、はたして除染の裏でうごめく利権集団に気付いているのか。原発を造って稼ぎ、壊れても稼ぐ――。モラルなき原子力ムラの住人たちである。
国の除染作業は(1)有効な除染方法のデータを集積する「モデル事業」(2)資機材の保管場所や作業員の休憩所など役場に除染の“前線基地”を造る「先行除染」(3)警戒区域や計画的避難区域の「本格除染」――と、3段階で進められる。作業を発注するのは、環境省が福島市に開設した「福島環境再生事務所」。女性スキャンダルで懲戒処分を受けた経産省の西山英彦元審議官も所属している(現在は東京で待機中)。
すでに昨年11月末からモデル事業が始まったが、そこでは除染をめぐる原子力ムラのドロドロとした利権構造が浮き彫りとなっている。
事業を受託したのは、原発を推進してきた独立行政法人の日本原子力研究開発機構だ。国からの約119億円の委託費に対し、3つの共同企業体(JV)への再委託費は総額約72億円。堂々40億円以上の“ピンハネ”である。
さらに問題なのは、再委託先のJV。幹事会社は原発建設の受注でトップ3を占めるスーパーゼネコンだ。原発建設の実績がそのまま横すべりして、除染ビジネスの受注に反映された形である。
「受注したのは鹿島と大林組、大成建設の3社です。全国の全57基(総建設費13兆円)の原子炉建屋のうち、鹿島は24基、大林組は11基、大成建設は10基の建設実績を誇ります。原発は業界で“打ち出の小づち”と呼ばれ、1号機の建屋を請け負ったゼネコンが後発機の建屋も総取りするのが慣例でした。福島第1原発は6基とも鹿島が受注しました」(建設業界関係者)
<ピンハネして利益ガッポリ>
原発利権に群がった面々が除染利権に巣くう――。これには福島県内の業者からも「スーパーゼネコンは下請けも県外の系列会社を連れてくる。福島再生のための事業なのに、地元にカネは落ちてこない」と不満の声があがっているが、まだまだ序の口である。
除染事業を担う環境省は日刊ゲンダイ本紙の取材に「今後の先行除染や本格除染は、モデル事業で得られた知見や労務管理を基に受注先を決める方針」(水・大気環境局)と答えた。モデル事業を請け負ったゼネコン3社にとって、その実績が今後の除染ビジネスの受注にも有利に働くのは間違いない。
12年度予算案では、除染と汚染ガレキの処理に4513億円が盛り込まれた。政府が見込む除染関連費は、13年度まででも計1兆円以上。その後も最大で東京ドーム22杯分という汚染土壌を収容する巨大ハコモノ、「中間貯蔵施設」の建設が待ち構えるのだ。「少なく見積もっても40兆円もの予算が除染に費やされる」(建設業界関係者)との推算もあり、スーパーゼネコンは手ぐすね引いていることだろう。
東大アイソトープ総合センターの児玉龍彦教授は「原発施工者が独占する除染では国民の信頼は得られない。除染予算は幼稚園の除染などに使えるよう自治体に分配すべきだ」と主張している。このまま、原子力ムラの焼け太りを許していいのか。野田は児玉教授の意見に真摯に耳を傾けるべきである。
まあゲンダイの記事で多少オーバーとはいえ、言ってる内容は的を得ているでしょう。
結局役人や政治家と、天下り先を受け入れているゼネコンや大企業だけがぬくぬく越える為だけに利用されて、被害にあった住民や自治体は蚊帳の外って感じなんでしょうね。
放射能汚染石入りコンクリート問題も表面化したことだし、この際他国で実際に行われた有効な手段を素早く行うのも一考だと思うんですがね。
米原子力規制委員会(NRC)がスリーマイル島原発事故の際に実際に行った手段なんだから、高圧水除染の効果が疑問視されているんだから、政府がさっさと予算つけて導入すればいいのにね。
このカーボライン社や神東塗料が採用されたって話も聞きませんしね。
効果よりもメンツや利権が大事な民主党では無理な話かもしれませんが。
「塗って剥がして」
少しでも不安に駆られている住民の皆様に、除染の安心感を与えるためにも、有効だと思える方法はどんどん採用すればいいのにね。
前原子力委員会委員長代理が「福島における放射能除染のあり方について(PDFファイル)」と題した資料をまとめている(コープふくしま)。
http://www.fukushima.coop/report_josen/pdf/kouenkai.pdf
塗ってはがして除染 尼崎の神東塗料、事業化へ
http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0004620295.shtml
中堅塗料メーカーの神東塗料1 件(兵庫県尼崎市)は、東京電力福島第1原発の周辺自治体向けに、壁などに塗ってはがすと、放射性物資の約9割を除去できる塗料の事業化に乗り出した。米スリーマイル島原発事故の際に開発され、効果が認められた実績があり、国が被災地で実施する除染1 件モデル事業への採用を目指す。(段 貴則)
除染用塗料は、1979年に発生したスリーマイル島原発事故の際、米原子力規制委員会(NRC)の要請で、防さび・防食塗料の世界最大手、米カーボライン社が開発。NRCから有効性の承認を受け、原発周辺施設などに使用され、現在も米国内の原発や放射線を扱う病院などで使われているという。
神東は、カーボ社と共同出資した子会社ジャパンカーボライン(東京)を通じて輸入販売する。
建屋の内外壁や床などに通常の塗料と同じように塗ったり吹き付けたりして、乾燥後は粘着テープのようにはがせる。放射性物質の除去率が高い上、はがした塗膜は小さく圧縮でき、放射性廃棄物としての保管処理も比較的容易なのが特長。
外壁など屋外を中心に行われている高圧水洗浄による除染1 件作業は室内に不向きで、除去率も最高で5割程度にとどまる。汚染された洗浄水の回収も難しく、課題となっている。
神東グループは、独立行政法人・日本原子力研究開発機構が公募している、福島第1原発周辺の警戒区域などでの除染実証事業に名乗りを上げており、採用が決まるなどで需要が急増した場合は国内生産も検討する。
ジャパンカーボ社の湯浅浩俊社長は「原発事故で避難生活をしている被災者が、再び、ふるさとで暮らせるように役立てれば」と話している。
(2011/11/15 12:37)