「大切なものは僕たちの命ですか?それともお金ですか?僕は病気になりたくはありません。僕には将来の夢があります」
福島から横浜に避難している小学生が多くの聴衆を前にこう訴えました。「原発のない世界」を目指し、世界およそ30か国からエネルギーや放射線の専門家らおよそ100人が意見を交わす「脱原発世界会議」が14日から横浜で開かれています。日本の市民団体主催によるこの会議、初日の14日は開会前から多くの一般参加者が会場に列を作りました。
「何かできないかということで、この原発について。署名を自分たちで作って集めようということで」
「前からいろいろ危ないという話は聞いていて、だけど、そんな本格的に考えたことがなくて。自分は学習したいというふうに思い・・・」(参加した学生)
14日の会議ではドイツの原子力安全委員会の元メンバーらも交え、東京電力・福島第一原発事故を検証。ヨーロッパでの再生可能エネルギーの実践例やチェルノブイリ原発事故などをめぐってもさまざまな議論が行われました。
「次の30年間で再生可能エネルギーに全世界のシステムが変わるでしょう。(脱原発は)技術的には日本でも可能です。これは政治的決断の問題であり、再生可能エネルギーをどれだけ発展させられるかです」(ミヒャイル・ザイラー元ドイツ原子力安全委員会委員長)
ドイツでは福島の原発事故の影響を受け、“脱原発”の動きが一気に加速。去年、「脱原発法」が成立し、2022年までに全ての原発が段階的に廃止されます。
現在、日本はアメリカ、フランスに続いて世界で3番目に多くの原発を抱えています。日本もドイツのように原発に頼らず、再生可能エネルギーへの転換に大きくかじを切ることは可能なのでしょうか。
「日本社会全体が大幅に遅れていた。完全に20世紀型の考えで、産業界も政府も政治家もとどまっていた。エネルギー政策上、原子力発電というのはもう今や完全に時代遅れなんです」(環境エネルギー研究所 飯田哲也所長)
こうした中、四国電力・伊方原発2号機が定期検査のため、13日夜遅く停止しました。これで四国の電力供給の4割を担う伊方原発は初めて3基の原子炉全てが停止する状態となりました。
「原発事故というものに奪われてしまった私たちというものを見てほしい。それでもあなた方は原子力発電に頼るんですか」(福島・南相馬市からの参加者)
会議には日本が原発輸出を目指すヨルダンからも反原発の立場の国会議員が参加。会議では「脱原発は世界全体で考える視野が不可欠」として各国の連携を呼びかけています。(14日17:30)