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建設株が下値切り上げ、復興・リニア・首都高補修など切り口豊富
[東京 10日 ロイター] 建設株が堅調な値動きを持続している。震災復興に伴う需要が本格的に始まるほか、リニア新幹線着工、首都高の大規模補修など切り口が豊富で分かりやすいことから個人中心に資金を集めている。
欧州金融不安が引き続き株式市場の重荷となる中、建設株が前年末から順調に下値を切り上げている。10日の株式市場では、大林組、清水建設などの大手ゼネコンのほか、前田建設工業、植木組などの準大手・中堅クラスまで幅広く買われている。さらに日本橋梁、宮地エンジニアリンググループ、サクラダなど橋梁関連株も騰勢を増している。
東証業種別株価指数の建設業は、昨年12月19日の直近安値から10日前引け時点まで5.4%上昇し、同期間の日経平均の上昇率1.9%を上回っている。最大の注目材料は本格化する東日本大震災の復興需要だ。総額12.1兆円のうち9.2兆円が震災復興関連に充てられる第3次補正予算は、今後順次執行される見通し。「建設各社から第3次補正予算の執行に伴う初期の見積もりが出始めているようだ。いよいよ数字が見える段階に入ってきた」(コスモ証券本店法人営業部次長の中島肇氏)との声が示す通り、株式市場では確実に需要が見込めるセクターとして期待を膨らませている。
福島県ではすでに放射性物質の除染モデル実証事業が大手ゼネコンを中心に始まっており、3月2日までに実証結果が報告される予定。その後、除染事業の本格発注が行われる公算が大きく「除染事業には12年度にかけて1兆円を超える予算が計上される見通し」(大手証券系調査機関)との試算もある。全国の原子力発電所の防潮堤建設が始まるほか、街づくりなどの本格復興事業もこれからだ。
一方、首都高速道路会社が1兆円規模の大規模補修に乗り出すと一部で報じられた今年5日以降、道路補修関連株や橋梁関連株も連日活況を呈している。「値動きの良い材料株として個人の資金が集中している」(準大手証券トレーダー)という。また、リニア新幹線は2014年着工(東京―名古屋間の建設期間は約10年)の方向で現在議論が進んでいる。メリルリンチ日本証券では大手ゼネコンの場合、年間の売上高を少なくとも500―600億円程度は押し上げると試算している。
建設業界は労働者不足による人件費上昇がリスク要因との見方もあるが、今後息の長い需要拡大が予想されるだけに株価にも水準訂正余地があるとの声が多い。
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