「自伝」というより「童話」
レイチェル・カーソン(『沈黙の春』の著者)が残した言葉に、「『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではない。子どもたちが成長する過程で出合うことが知識や知恵を生み出す種子だとしたら、情緒や感受性は、それらの種子を育む肥沃(ひよく)な土壌のようなもので、子ども時代はその土壌を耕すときである」とある。『絵のある自伝』を読むと、彼女の言葉がじわじわと心の中で広がっていく。
この本には愛らしくもユーモアに満ちた挿絵が多く添えられている。ふんだんな挿絵のおかげで、「自伝」というより、「童話」を繙(ひもと)いている気分になる。しかし、本書が「童話」に見えるのは、挿絵効果だけでないだろう。
安野さんは、自らたどってきた道を読者に披瀝(ひれき)するふりをして、実はその道を取り巻く名もない、しかし忘れがたい人間の存在を愛情深く描いておられる。父子家庭で、たまに弁当をもってこない日があり、運動場で一人で遊んでいた隣席の「つえ子」に、「わたしは何もしてやることができず、おどけて笑わせるのがせいいっぱいだった」安野さんの痛々しいほどの述懐。
仲良くなった朝鮮人の子、山本虎雄が転校していくとき、光雅君に残していった「げんきでヘンヨウせいよ」という手紙の、本当は「ベンキョウせいよ」だったことに気づいてなお、その言葉の深さに初めて覚える感傷。フーテンの寅さんのような義兄の善一、いつも人形をおんぶしている金物屋の女の子、自宅が冠水したのを放って女学校寄宿舎へ人命救助に行く下道君、父のために指圧師を征伐しようとする3歳の愛(まな)娘、司馬遼太郎さんの遺品の靴に踏まれる東大阪市の道路君に至るまで、安野さんの筆にかかるとたちまち息を吹き返し、表情豊かに踊り出す。その様子は、安野さんが八十数年にわたって絵に描き続けてきた『小さな人々』の姿と重なって、たまらなく愛(いと)おしい。
もはや種子どころか、ふるさと津和野に名を冠した美術館が建つほど知識と知恵と技をぞんぶんに身につけられた安野さんはまだ、『土壌』を肥やすことに夢中なのだ。
絵のある自伝
posted with amazlet
at 12.01.08
安野 光雅
文藝春秋
売り上げランキング: 2622
Amazon.co.jp で詳細を見る
【送料無料選択可!】絵のある自伝 (単行本・ムック) / 安野光雅/著
価格:1,628円(税込、送料別)
TUMI 価格比較 TUMI トゥミ 格安徹底比較
TUMIを買うならここの比較サイトをチェック!!
TUMI 最安値比較 TUMI トゥミ 最安値はどこ?
TUMIを買う前にここの比較サイトをチェック!!
RIMOWA リモワ 激安比較 激安のRIMOWAは?
リモワ RIMOWAIを買う前にここの比較サイトをチェック!
リモワ 最安値比較 RIMOWA 最安値はどこ?
リモワ RIMOWAIを買う前にここの比較サイトをチェック!
ルイヴィトン LOUIS VUITTON 掘り出し物!!
ルイヴィトン LOIIS VUITTONIを買なら比較サイトチェック!