タテゴトアザラシの赤ちゃん、海氷減少で死滅の恐れ カナダ東部

AAI Fundさん
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カナダ東部沿岸を繁殖地とするタテゴトアザラシの赤ちゃんたちが、冬季の海氷面積の減少に伴い警戒すべきペースで死んでいると、米デューク大学(Duke University)の研究チームが4日、警告を発した。生息数の回復が可能かどうか疑問だという。

 米科学誌「プロスワン(Public Library of Science、PLoS ONE)」に発表されたデューク大学の研究論文によると、北大西洋における冬季の海氷面積は、衛星を使った調査が始まった1979年以降、10年ごとに約6%減少している。これは、繁殖環境が消滅することによって、生まれたばかりの赤ちゃんアザラシ全てが死滅しつつあることを意味するという。

 論文を共同執筆したデューク大海洋学研究所(Duke University Marine Lab)のデービッド・ジョンストン(David Johnston)氏は、「この減少率は異常だ」と警鐘を鳴らす。

 研究チームは、タテゴトアザラシの主な繁殖地となっているカナダ東部セントローレンス湾(Gulf of St. Lawrence)の1992~2010年の衛星写真を調査。同湾沿岸で発見されるアザラシの幼体の死体数と照らし合わせた。また、地域における偏西風や低気圧の強さ・進路に影響を与え海氷の形成にも大きく関係している北大西洋振動(North Atlantic Oscillation、NAO)と、死体数との間に関係があるかどうかも調べた。

 すると、NAOが弱かった年には海氷の形成も少なく、タテゴトアザラシの幼体の死体が多く見つかっていることが分かった。

 タテゴトアザラシは授乳期が12日間と短く、海氷が早春に溶けてしまう環境に順応した生物種だが、海氷そのものの減少に適応できるかは不明だ。「自然現象としての短期的な気候の変化には対応できるが、長期的な気候変動に伴う激しい環境変化に人間による狩りなどの影響が加わった場合、それら全てには適応できない恐れがある」と、ジョンストン氏は語っている。

 研究チームはさらに、1950~72年のデータまでさかのぼって参照し、この期間においてもタテゴトアザラシがNAOの変動により減少していたことを確認した。この後、2000年にかけて生息数は増えているが、ジョンストン氏は「油断はできない。NAOの状態にかかわらず、タテゴトアザラシの繁殖環境である北大西洋の海氷は10年に6%ずつ減少している。固体の減少数は回復数を大きく上回っている」と懸念を示した。






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