被災地は年末を迎え、被災した住宅の改修工事が急ピッチで進められています。「きれいになった自宅で新年を迎えたい」・・・しかし、そこには被災者の思い通りにならない現状があります。
「ようやく(工事が)進み出しましたね。早く何とかしてほしいと思って大工さんに発破かけているんですけど」(3月に工事を依頼した女性)
津波や火災によって多くの建物が失われた宮城県気仙沼市。全壊した家屋が多くある一方で、家は残ったものの、そのままの状態では住むことのできない建物も多くあります。「きれいな自宅で新年を迎えたい」・・・しかし、そう願う多くの被災者に大きな問題が立ちはだかります。
「(職人の)絶対数が足りないですよね。1年までは待たなくていいけど、半年、7か月は待ってくれないですかねと」
「気仙沼だけじゃなくて宮城県でも岩手県でも(工事が)あるし、いろんなところに散らばると人手不足になるのかな」(建設業者)
気仙沼市では地元の建設業者が多く被災したことに加え、がれきの撤去やインフラ整備など、震災発生後、業者の仕事は激増しました。
「他の会社を紹介してあげたいんですけど、いないんですよ」(建設業者)
契約から工事の着工まで数か月。完成予定が延期になるケースもある中、他の方法で自宅の改修を行う人たちもいます。
「(業者が)『とにかく今年は無理ですよ』と。『来年のいつかというのははっきり言えない』と。まず順番だということです」(ボランティアに依頼した男性)
現役を一度退いた人も、再び道具を手に取り、自宅を改修しています。
Q.なぜ自分で改修を?
「誰も(やってくれる)人がいないもの。いま、辞める年になっているけど、それでも(工事に)駆り出されてさ」(自分で改修する元大工)
気仙沼市には県外の業者や大手ゼネコンも入ってきているものの、依然、人手不足は解消されていません。
「お正月までには(完成してほしい)と思ってましたけど、ちょっとわからないです」(3月に工事を依頼した女性)
新しい年を目前に、自宅の改修を決意してもなお、工事の順番を待たなければならない現状が被災地にはあります。(11日17:40)