【書評】『小説を、映画を、鉄道が走る』川本三郎著

AAI Fundさん
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本著のあとがきによると著者は「乗り鉄」らしい。映画でも鉄道が出てくるだけでわくわくするそうだ。そんな鉄道好きが、小説や映画の中に登場する鉄道の話を楽しく記した。小津安二郎監督の「東京物語」では東京から尾道に戻る夜行列車に触れ、「夜行列車に乗って、夜が明けてゆくのを見るのは旅の醍醐味(だいごみ)だった」と懐かしむ。また「列車の旅は食と共にある」と、駅弁や駅そばの大切さを説く。作家の池波正太郎が旅先の駅前の食堂で食べるオムライスを引き合いに、「旅先の駅前食堂で食べるなんでもないものがいかにおいしいか。それがどれだけ旅の思い出になるか」と結ぶ。読んでいると、映画を見たくなり、鉄道で旅がしたくなる。(

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