復興活力を乗せ快走 東北新幹線全通1年、沿線観光施設にぎわう

AAI Fundさん
AAI Fundさん


東北新幹線が青森県内の八戸から新青森駅まで延伸されてから、4日で1年を迎えた。利用客は3月の東日本大震災で一時減ったものの、すぐに回復。地元観光業界などを中心に、“新幹線効果”の恩恵で「活性化につながった」という。多くの課題もあるものの、新幹線の延伸が東北全体の活力の下支えとなっているようだ。



 青森駅から徒歩10分圏内にある県観光物産施設「アスパム」。震災後は一時低迷した来場者も回復、週末ともなると、大勢の人でにぎわいを見せている。9月は対前年168%の13万387人、10月も同147%の10万5240人を記録した。

 周辺には、今年1月にねぶたなどを展示する観光施設も新たに誕生した。アスパムの担当者は「新幹線効果が如実に表れている。街も活気が出てきたような気がする」と話す。

 観光面での延伸効果は、周辺にも及ぶ。新青森駅から在来線で30分ほど離れた「浅虫水族館」(青森市)でも、延伸後に関東圏からとみられる客が目立つようになった。担当者は「青森、東北の魅力を発信する契機になった」と喜ぶ。

 地元のシンクタンク「青森地域社会研究所」では「(効果は)観光業に顕著に出ている。乗り換えなしで来られるようになり、県外からの個人観光客が増えた」とみている。

 JR東日本によると、八戸-新青森駅間の東北新幹線の乗降客は、震災影響期間を除くと、1日平均約9500人。前年の東北本線の特急列車乗客数より24%も増加した。

開通区間だけの乗車は少なく、JR東では「東北全体の乗客数の底上げにつながっている。開業効果で終わらせず東北全体の盛り上がりにつながれば」と期待を寄せる。同社では11月から、「行くぜ、東北。」と銘打った開業1周年キャンペーンを展開、さらなる乗客増を目指す。

 今後の課題となったり、期待通りにはいっていない点もある。

 新幹線ルートから遠い自治体からは不満の声が漏れる。最寄りの八戸駅まで直通列車で約1時間40分かかるむつ市。「(ルートに近い自治体と)一緒の土俵に乗れずにいる」。宮下順一郎市長は県内市長会議で語気を強めた。

 新青森駅周辺では、市が整備した商業地約4万平方メートル(甲子園球場敷地に匹敵)のうち、約8割に買い手がついていない。在来線の客の落ち込みも深刻で、今後に課題を突きつけている。
AAI Fundさんのブログ一覧