11月26日(ブルームバーグ):著名投資家のジム・ロジャーズ氏は都内の講演で26日、日本株は歴史的に割安な水準で日本は投資先として株式を保有している数少ない国の1つだと述べ、サンリオ株などに実際に投資していることを明らかにした。
少子化や移民を受け入れない制度などによる人口構成上の問題、債務の急激な増加に日本は見舞われているとロジャーズ氏は指摘。これを映して日本株は現在「1983年と同じにある」と強調した。その上で今後は日本企業や投資家の海外投資案件が損失発生により国内に資金回帰、低利回りの国債よりも株式や商品に向かう可能性を示した。またアジアの成長の恩恵を日本が受けることも日本株上昇の理由に挙げた。
ロジャースの指摘で、決定的におかしいのは日本の円高政策を無視している点。
円高では日本国内への事業投資は割に合わない。
国内回帰資金があったとしても、株式、不動産よりも国債に寝かせる方を選択するだろう。
好不況の波、景況感格差・実質金利差による自律的円安反転の波があっても、日銀の円高指向(=低金利維持指向=通貨供給抑制指向)がある限り、国内経済空洞化は波打ちつつ、着実に進むことになるからです。
また、隣接ゆえアジア成長の恩恵を受けられる、という指摘も誤りである。
近い国ほど好影響も悪影響も受けやすい。
で、日本の場合は、空洞化という悪影響のほうが大きいです。
アジア諸国、特に中韓が過剰な通貨安政策を取り、日本が通貨高政策を取っている以上、空洞化の悪影響度合いが強く、隣接ゆえ、その悪影響が増幅されている、というのが正解でしょう。
中国(および韓国)で稼げるよりも、国内経済伸び悩みや、技術流出(韓国へも)による中国市場の喪失、中国以外の海外市場の喪失のデメリットが大きくなるのです。
過去20年の経過を見れば、これは一目瞭然です。
通貨安の中国・韓国は大躍進し、通貨高の日本は低落し続けた。
中国で効率的に稼げているのは、むしろ、中国からはるか離れたドイツの方です(ドイツは離れている上、ユーロで通貨安)。
中韓に隣接している日本はドイツ以上の通貨安政策=通貨膨張政策を取らなければ持たないことは、明々白々です。
現在までの日中韓の政策関係では、日本株投資全般を楽観する理由は乏しく、むしろ、厳しい銘柄選別が必要です。